炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

「いきいきママ」が叩かれる理由

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こんにちは。火力不足です。

 

「いきいきママ」という言葉が新たに生み出されたようです。意味としては、会社で働いても自分の人生を大切にし、遠慮することなく自分自身のペースで妊活・結婚をして産休を取得したり、子供の体調によって早退などをしながら適度に仕事を行う母親のことのようです。

一見、仕事も家庭も両立している素晴らしい女性です。しかしながら、個人的にはどうしても疑念が生じてしまいます。「その生き生きした人生を実現するための仕事や育児の負担はどこへ行ったのか?」と。勿論、全員が生きたいように生きられるのは理想ですし、ただ単に他者を妬みつぶしても実りがないことは重々承知しています。それでも、余裕がないこの世の中で、余裕を搾取するようなやり方を許容できるほど寛容な人は多くありません。

 

本日は、「いきいきママ」が受容されない理由を記述することを目的とします。

 

 

目次

・専業主婦が刈り取られた結果

・受け入れるとこうなる

・訳アリ人材はどんどん増える

・まとめ

 

・専業主婦が刈り取られた結果

一昔前は、「専業主婦」が女性にとってのいわゆる逃げ道であったように思います。小遣い制という日本独特のシステムを採用し、家庭にお金を貯蓄しながらも大量出産を求められることもなく、女性が消費の女王として君臨したのがバブル期でした。当然専業主婦でも育児やご近所づきあいは大変という声はあるでしょうが、子供は当然成長して手がかからなくなっていくでしょうし、ご近所づきあいも新しく覚えることはたかが知れています。少なくとも、仕事と比較すれば評価者は圧倒的に少ないですし、身体の老いに逆らって知識のアップデートを繰り返すことはないでしょう。専業主婦をやって脳がおかしくなったとか、自殺したなんて話は仕事と比べればないも同然です。

そんな無敵の専業主婦も、男性の財布が弱ったことと、インターネットの浸透、男女平等教育の導入により以前ほどの勢いはなくなりました。個人的には、インターネットによって、専業主婦であるにも関わらず家事をしなかったり、「夫 死んでほしい」が検索結果として出ていたり、日ごろは批判できない女性に対する不満をこっそり言える場所ができたことで、募った疑念は確信に変わったことが大きいと思います。専業主婦のバッシングに寄生虫などの過激な表現が用いられたり、社会進出により強者男性の絶対的な数を減らしたことや、共働きの機運が上昇したことから、専業主婦は多くの女性にとっての「逃げ道」としては成立しなくなりました。もっとも、強者男性の伴侶になるという競争を勝ち抜けば可能ですが、敗北する女性の方が絶対数が多い以上、「逃げ道」にはなりえなくなったといえます。いわば、専業主婦という旧来の女性の「逃げ道」は潰されました。

個人的には、社会進出せざるを得なくなったことで、女性は現在の男性のような死なばもろともルートに入って男女とも疲弊するか、いやいや男性おかしいでしょもっと楽になろうよという負担を減らすルートのどちらかになるものと思っていました。しかし、そんな希望もむなしく、今度登場したのが「いきいきママ」だと思っています。仕事も育児も両立するために、子供を人質にして自分の時間を作るのは予想外でしたね。

若き日本女性の生存戦略実に恐るべきです。自分の人生を大切にするうえでは当然の選択ではあるのですが、素直に受け入れることは残念ながらできません。

 

・受け入れるとこうなる

「いきいきママ」で業務が崩壊した話

https://anond.hatelabo.jp/20171023112949 

 

あくまで匿名の文章でしかありませんが、現に起こっていても何の驚きもありません。仕事の量は変わりませんからね。仕事の量が変わらない構造も問題ですが、利用する女性が既得権として吸い尽くしてしまった挙句、会社を辞めることも珍しくありません。働き続けるために設定されたシステムを、働かないために搾り取ってしまっているのです。当人は好きなように人生を歩めていますが、一人が好きなように人生を歩んだしわ寄せは目に見える形で自分の前に積み上げられます。仕事量が増え、ミスが増え、帰る時間は遅くなり、趣味や勉強に割く時間は明らかに減ります。疲労もたまりますが、報酬はほとんど変わりません。真面目に働くほど損をします。

企業の評価基準や仕事量がおかしいという問題は勿論あります。ただ、最も問題なのは、育児休暇という制度へのフリーライドと、そのフリーライドさえ「セクハラ」「女性差別」という言葉で封じ込めてしまった周到さと陰険さではないかと思います。

そして、もう一つの問題として、「お互いに妬んで潰しても苦しくなるだけ」という一見善意っぽい意見もあります。まず子持ち女性を事実上優遇することで、いずれ皆が余裕をもって楽になるよう順繰りにシステムを調えようという考え方ですね。

確かに、余裕があれば回るし、本当ならみんな認めて楽になりたいのは事実です。しかし、それを例え認めても独身者、特に男性に還元されることはあり得ないと断言できます。

どれだけ補助や援助を付けたとしても、子供をダシにもっと楽をして、「まだまだ足りない」と要求するだけで、決して還元はされません。なぜなら、今までもされなかったからです。平等に言って、バブル期には世界有数で家庭に金銭が注ぎ込まれました。

その結果…

 

男性は楽になりましたか?

世界有数の金銭をもとに出生率は爆発的に上昇しましたか?

子供は父親を尊敬し、夫婦は対等でしたか?

膨大な金銭を受けた子供たちは最高の教育を受け、頼もしい人材に育ちましたか?

 

ミクロではある程度は実現したでしょうが、マクロでは露ほどにも実現しませんでした。加えて、男女平等の推進により女性“授”難の時代が訪れただけでした。そしてリーマンショックで国が落ち込んだ際、女性が選択したのは女子会と「男は頼りなくダメだ、これからは女性の時代だ」という男叩きでした。そして、共働きを進めざるを得なくなった今でさえ、男性側にある種依存していた経済力や防衛コストなどの負担についての議論は全く起こりません。

 

専業主夫を養う経済力のある女性は珍しくなくなりましたか?

恋愛で男性がおごる風潮は男性依存として女性から否定されましたか?

虫を退治できない男性が「苦手なら仕方ない」と許容される時代になりましたか?

「男のくせに」という言葉は撲滅されましたか?

ポジティブ・アクションは女性からノーが突き付けられましたか?

ガラスの地下室は認知され、ガラスの天井とともに破壊されましたか?

男性の育休は整備されましたか?

「夫を返せ!」というデモが日本中の妻から起こりましたか?

 

男女平等をやるのならいずれも何らかの形では通るはずの道ですが、何一つ実現どころか意見さえほぼ見かけない状況です。こんな状況で女性の育休を素直に受け入れられる方が奇跡です。まず間違いなく死ぬまで自分に還元されませんし、楽にはなりません。出産された子供による公的支援は得られるかもしれませんが、微々たるものでしょう。自身の投資額と寿命を考慮すればマイナスも十分あり得ます。

無策なまま女性の人生を容認したところで、カモとばかりに負担を課されたまま、間接的な下僕として終わるだけです。そんなことを世間で一言でも漏らせばボコボコにされる以上誰も言えませんが、こうした形で不満はネットにどんどん蓄積するでしょうし、メリットの薄いことは誰もやりたがりません。

もし皆婚時代なら、いつかは結婚するかもしれないため、将来は自分もお世話になるだろうという思いから実現できたかもしれませんが、それもバブル期に女性が市場原理を持ち込んで壊してしまったので、残ったのは結婚できる恵まれた方々のみです。しかし恵まれた方ってもはや多数派ではありませんよね。

 

・訳アリ人材はどんどん増える

一方、企業の行動としては、早いうちに訳アリ人材上等のシステムを作っていかないと崩壊まっしぐらだと思います。今後若い日本人は確実に減少しますし、介護やがんなどを抱える人はどんどん増えます。経営者側にも間違いなく増えます。そうなると、根本的に人が足りなくなりますから、崩壊を防ぐには何らかの投資は迫られるでしょう。それがAIの導入になるのか、時短勤務システムの整備なのか、労働時間の短縮化なのか、業務の縮小なのか、外国人の登用なのかはわかりませんが、今のまま健常で若い日本人が湧いてくることはまずありえないでしょうね。そもそも日本人じゃなくても安く雇えればよいくらいに考えていらっしゃるのかもしれませんね。ただ、30年後には若い日本人というだけで間違いなく希少になりますから、現状の人を使い潰すようなやり方は長くは続かないとは思いますがね。

 

・まとめ

結局のところ、育休をとる子持ち側としては、「私たちの子供が将来独身者を支えるのだからそのくらい我慢しろ」でしょうし、独身者としては「たかが子供一人に自分がかける迷惑は知れているし、目の前の仕事を考えれば絶対に割に合わない」のでしょう。また、管理者としては「祝福はしたいが物理的に穴は空くし、簡単に補充もできない」ですし、被管理者としては「目の前の仕事が増えても報酬は変わらない」わけです。

今日より明日がよくなるという希望や、今育休を取ってもらうことで将来的に自分が楽になるという循環が全く見えないという「余裕のなさ」に尽きるのかなと思います。ただ、この問題に限れば、育休を搾り取るまで権利として使い切るフリーライダーが一番有害な気はしますね。その批判をハラスメントで封じ込めたフェミニストも同じくらい有害だとは思いますがね。

「いきいきママ」を受容しても、「いきいきママ」は決して自分を受容しないという確信が独身者・特に弱者男性にはあるでしょうね。実際間違いなく受容されはしないでしょう。