炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

堪える敗北

2引き分けというのは、チームの状態を結果から類推するにはかなり難しい結果です。

 

次に勝てば1勝2分けとなり、「負けない」チームという印象になることでしょう。

引き分けたり負けたりすれば、「勝てない」チームという印象になることでしょう。

 

中断期間を挟んだのちの残留を争う仙台さんとの6ポイントマッチであり、いかにして結果を残すかが重要な試合でした。

ただ、結果は芳しくないものでした。

 

仙台さんから点を獲るには、シマオ・マテ選手とスウォヴィク選手をいかに左右に揺さぶってゴール付近から引きずり出すかが重要になります。持ち前の技術とやらで完遂できればそれが一番なのですが、残念ながら引いた状態の相手を能動的に崩す手法は元々チームにありませんでしたし、なにもない状態から2週間の付け焼刃では仕込み切るのは難しいです。

 

 

そうなると点を獲るには、自陣でボールを保持しながら相手を吊りだして意図的に相手が崩れた状態を創出する大分さんのようなやり方か、比較的時間・空間を得られるサイドから高精度のボールを入れ、セットプレーを含め高身長プレイヤーが何かを起こすかつての名古屋スタイルかどちらかになります。(欲を言えば前者を仕込んでほしかったですが…時間が足りませんね)

現状名古屋の置かれた状況と、フィッカデンティ監督自身の特性を踏まえて後者を選択なさったわけですが、結果的にはJ1屈指の仙台さんの2選手を無効化できるレベルの高精度なボールはほぼ入れられませんでした。

 

主観で言うのであれば、一番質を発揮したい箇所がむしろボトルネックとなったのが今日の敗因だった気はします。『どこで能動的に質を発揮し、相手ゴールに迫るか』は明確であったものの、肝心の質が伴いませんでした。滑走路を整えたのに、肝心の飛行機が飛べなかったような感覚を覚えます。監督の志向と現有選手のミスマッチは新監督就任時にも危惧されていた問題であり、この試合ではまさにその危惧が的中してしまったということでしょう。

もはや今シーズン中解決することはありませんから、監督に対する評価軸は、はっきり言って「残留するか・しないか」でしかないでしょう。勿論勝率・支配率・得点率などを出そうと思えば出せるでしょうが、比較対象として妥当性があるのはせいぜいボスコ監督期くらいですね。それくらいシーズン途中の就任というのは特殊で難しいです。

通期の継続性のない監督が短期間では連勝するというケースもありますし、その逆もあり得ます。キャンプ期間から同じ時間を取り、数クラブ指揮したうえで、漸く妥当な比較ができるのではないでしょうか。そこまでしたとしても、一定以上の説得力のある監督の資質の説明はなお難しいでしょうがね。だからこそ世界中で謎の監督人事・内部昇格は起こるわけです。

 

 

どうしてもポジティブになるのが難しい結果ではありましたが、降格については相対的に今年だけは何とかなる気はします。来年同じことを繰り返せば間違いなく降格するでしょうね。残された時間は多くはありません。「時間はかかる」と言って5年座す猶予は最初からありませんでしたから、今なおあるはずはありません。

 

しかし、それは自分自身諦める理由にはなりません。

今シーズンに関しても、当然最後まで諦める理由はありませんし、諦める方もいらっしゃるはずがありません。監督が変わった途端に諦める「クラブが好きなファミリー」などいるはずもありませんからね。

 

ただ、今を戦うこととは別に、今シーズンの総括並びにこの3シーズンの総括は必須になるでしょう。フロントの選択とそのためのミッションをこなすプロフェッショナルの抜擢・失敗した場合のリスクヘッジなど、振り返るべき要素はかなりあります。特に、「時間がかかる」という錦の御旗を掲げ、果たしてこの3年間で何を積み上げてきたのかというのは、個人的にも気になる話ですし、ここを適切に言語化・内省せずに強くなることはないと思います。

勝ちたいのか、魅力的なサッカーをしたいのか、観客を増やしたいのか、どこから手をつけるのかが少し曖昧になってしまっています。選手・スタッフをはじめとした多くの関係する方々がずっと戦ってくださっているのは本当に嬉しい話ですが、戦う対象・目的は本当に貫かれているのでしょうか?

 

 

何とも悔しい敗北でしたが、あと5節しかありません。

 今を戦うのみですね。そして、戦い終わったのち、美談に流されて振り返りを再び怠ることがないよう祈りたいものです。