炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

マウスで昼夜逆転の影響を検討する意義

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こんにちは。火力不足です。

 

マウスに昼夜逆転したシフトを強いると、体内時計の乱れから死亡率が上昇することが明らかになったそうです。この研究から、死亡率に影響しないシフトづくりが模索できる可能性もあるそうです。

 

一見、人間でも至極当然のことのように思えます。確かに、人間で同様のことを行っても類似した結果は見られると思います。しかしながら、だからと言って「わざわざやらなくてもよいのでは?」や「知ってた」という反応については個人的には異議があります。

 

本日は、こうした一見当たり前とも言えそうな事例について、動物実験を行う意義について記すことを目的とします。

 

 

目次

・人体実験はできない

・交絡要因が多い

・まとめ

 

・人体実験はできない

倫理面や人権上の問題から、現状人体実験を行うことは日本ではもちろん、たしか他国でも認可されていません。少なくとも日本で既に社会実験しているじゃないかという突っ込みは抜きでお願いします。人間のことを理解するのであれば、人間対象に行うのが最も確実ではあるのですが、そうなると苛烈なストレスを課すような実験形式にならざるを得なかったり、過酷な環境によるうつの発症なども起こしてしまう危険性があります。勿論動物にとっても一種虐待に近いものではあるので、近年は動物愛護の観点から動物実験自体があまり推奨されなくなりつつありますが、それでも器官の機能を調査したりするといった人間では物理的にできないことを知る上では不可欠です。また、人間と違うのではという批判もありますが、感情や生活環境の差異、出自・受けてきた教育の差異といった結果に多分に影響を与える要素を動物実験では排除できる(遺伝的に同一の個体を用いたり、生活環境や餌を統一できる)ため、むしろ純粋に機能を調査できるという長所もあります。

こうした長所や特性から本来は、人間では明らかにすることが難しいような難解な事象や、人間で試すには苛烈すぎるものを何とかマウスで試させていただき、人間の生活に生かすというのがマウスを用いた実験の目的となっております。

もう一度申し上げますが、日本で既にやっているという突っ込みはなしでお願いします。

 

・交絡要因が多い

仮に、人体実験ができたとして、同様の結果が得られたとしましょう。しかしながら、人間の場合遺伝的な要因や、他者との比較に基づくストレス、食生活や生活環境など、他に影響を及ぼしてもおかしくない要因が多すぎて、真に体内時計の狂いが原因であるとは一概に断言できません。例えば、体内時計が狂うような生活を強いられている方々はストレスの発生しやすい労働環境にいらっしゃるでしょうし、適切な栄養摂取もうまくいってない可能性が高いです。発生したストレスによる人間関係の悪化など、二次的な悪影響も考えられます。あるいは、昼夜逆転した生活をしているということは、自分が働いている時間に多くの人は休んでいるか、遊んでいるということになります。人間はどうしても他者と比較してしまいますから、一度「こんな時間に自分は何をやっているんだろう…」と考えてしまうと、その疑問はずっと圧し掛かってきます。これも自分自身の欲求との不一致を招くので大きなストレスになりえます。こうした感情に基づくストレスが身体を悪化させるという可能性も十分考えられたわけです。

ただ、今回の研究により、人間よりも精神的な機微には乏しいと考えられるマウスにおいても、昼夜逆転により身体に白血球の異常な増加などが生じることを発見できたことで、昼夜の安定しない不安定な体内時計サイクルが肉体的な負荷を生じさせ、かなりの身体異常をきたす可能性を上昇させることがおおよそ明らかになったといえるでしょう。人間ではなかなか断定できないので、れっきとした大きな成果と言えます。

 

・まとめ

つまり、マウスがどうであるか以前に、そもそも人間を使って社会実験をしているのが間違っているわけです。記事中にもありましたが、こうしたマウスを用いた実験から、今度はストレスや身体負担を低減できるようなシフトが考案されたり、ストレスを相殺する効能があるものが発見されたりすることでようやく人間に応用できるのです。動物実験が何から何まで正しいとは言えませんが、人間ではやれないことを探求させていただくうえではせざるを得ないのかなとは思います「人間でわかってるからいらないよ」というその感覚自体が果てしなくおかしくなっていると思います。ある程度予想のつく話なのは事実ですが、人間で確かめては取り返しのつかないことになります。既になってしまっているのは悲しい話ですがね。