炭火生存日記

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0円と答える人がいるのも、育児の対価も妥当

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こんにちは。火力不足です。

 

育児に対して年収がいくらもらえるかを既婚男女を対象に調査を行った結果、男性の11%が育児の対価を0円と答えたことが明らかになったそうです。

 

ただ、この結果は驚愕のものではありません。見出しだけ見ればなんてひどいんだと思ってしまいがちですが、個人的には妥当な数値だと思います。この調査の参考になる点は育児の対価を0円と答えた層ではないように思えます。

また、調査として相変わらず雑なことをしている点があるので、調査としての問題点と合わせて、育児に関する感覚について考えることを目的とします。

 

 

目次

・年齢層が広すぎる

・年収ベースで男女差がないという興味深さ

・女性が求めるイクメン像とは?

・まとめ

 

・年齢層が広すぎる

まず、調査対象を見てみると、20~59歳の既婚男女1032名ということで、然るべき機関の調査としてはやや少ない印象を受けます。男女半分ずつですと500名ちょっとですし、世代分割を考えれば100人くらいしか答えていない世代もありそうです。また、20~59歳となるともはや労働や育児に関する価値観がかなり異なる部分があることが予想できます。ここを一括りにしてもなんとなく数字が得られるだけで、世代間の考えや真に育児に対する姿勢を見るのは難しいでしょうね。

インターネットでの調査ではありますが、単純に人口比率通りの回答がなされたと仮定すれば、当然ながら20代の既婚回答者よりも50代の既婚回答者の方が多くなります。50代の方は「イクメン」という単語が出るころには既に世話が絶えず必要になる部分の育児は終わっているでしょう。当時は男女役割分担に基づく働き方を行っていましたから、この世代の男性は育児に関しての知識は疎い傾向にありますし、女性は労働に関して疎い傾向にあるでしょう。そう考えれば、育児への対価として適正な値を出せない男性は中にはいるでしょうし、育児の対価を0円と考える男性がいてもおかしくないでしょう。同様に500万円以上と高めに見積もる男性も少数ながらいらっしゃるわけです。単に育児の適性対価に疎い人間が一定数いるという話に過ぎないと思います。

それゆえ「だから女性の仕事は軽んじられている」となるにはあまりにも早計でしょう。また、記事中にある育児に対する意識の低さは事実でしょうが、意識を高める必要がなかった世代の回答が含まれている以上、正解ではあるでしょうが現状の課題改善には役立たないでしょうね。

 

・年収ベースで男女差がないという興味深さ

そんなありきたりの結論よりも興味深いのは、年収ベースの平均で男女差が見られず、240万円程度にとどまっていたということです。これは、多少例外がいても平均的には育児によって対価として妥当なのが月20万円くらいという感覚が男女ともにあるということでしょう。こうした感覚により、保育士の待遇もだいたい確定します。もしこうした平均的な感覚よりも好待遇であれば、口には出さなくとも多くの方が割に合わなさを感じることで何らかの形で代替手段をとることになります。よって、これらの意識が変わることなく、ただ保育園が足りないとわめいても意味がないですし、日本死ねとほざいても意味がありません。日本死ねと言った口と同じ口で保育園が高いと言っている可能性もあります。

まぁ育児に対する感覚が鈍感な外れ値を含む男性の平均はともかく、女性の考える育児の対価平均が明らかになったというのは非常に大きいでしょう。男性の意識を変えろというのは簡単ですが、女性の意識を変えるのは非常に難しいですからね。

 

・女性が求めるイクメン像とは?

育児の価値を0円だと答えた男性のうち自分がイクメンだと思わない人間が66%なので、3人に一人は自分はイクメンだと自負していることになります。また、先述の通り明らかに育児をしない世代も含んだ統計なので、おそらく現役で育児をしている既婚男性はかなり育児に父親として取り組んでいると考えられます。正直なところ、既婚男性の10%程度の少数派の意見になるのであまり当てにはなりませんが…。

ところが、ここまで懸命に取り組むとまた別の問題が発生します。それが女性(妻)の意志です。男性がよい父として子供としっかり触れ合えば触れ合うほど、子供は父親に懐きます。まぁ当然ですよね。ただ、それは母親にとっては面白くありませんし、疎外感も生まれます。そういったことは避けたいでしょうから、妻としては夫には負担のかかる部分は任せたいが、子供に関わる重要な部分は自分が行いたいという思いが出ると思います。つまり、暴論になりますが、要求としては夫は自分の都合がいい時にサポートに回りながら、「俺やってるぜ」「手伝ってるぜ」感を一切出さず、育児のおいしい部分(子供とのふれあいや、外部からの評価など)は妻に回してほしいということになるのでしょう。妻側が一方的な弱者であればまだわからなくもない関係になりますが、対等な関係ではまずありえないでしょう。なぜそこまで夫が配慮する必要があるのかということにつきますね。イクメンについては間違いなく女性側の要望で浸透し始めた事例でしょうが、女性の言うとおりにやってみた結果どうなるのでしょうかね。まだまだ足りないとなるのでしょうか、夫への感謝の声が数年後にも聞こえるのでしょうか。

 

・まとめ

今回の調査には未婚者の意志が含まれていません。まだ結婚していない人が育児の対価についてどのように考えているのかというのも、育児の対価を数値化するには重要な指標といえそうです。

また、私の予想以上に多くの既婚男性が父親として家庭で活躍しているように思います。これ自体は歓迎するべきことでしょうが、女性側の要望をある種満たしたことで女性はどう動くのでしょうか。「まだまだ足りない」のか、「ここまでは求めなかった」のか「父親として夫としてありがとう」なのかわかりませんが、その答えは数十年後の婚姻率に現れることでしょう。