炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

期待の褪せる天皇杯ー名古屋らしさの確立とはー

今年も名古屋グランパス天皇杯で早々に敗退しました。

もはや驚くことでもありませんね。ここ数年は地域の実直なクラブさんに食われるか、格上に順当に負けるかのどちらかばかりであったので、今年もその路線を追従しただけにすぎません。そして、攻撃的と評して1点しかとれていないのも既視感のある光景ですね。最後に5-0で勝ったのはいつの話ですかねぇ。風間氏が就任してから全試合5-0で勝てていません。小倉さんでも福岡さん相手に達成しているんですがねぇ。

 

勝ちあがった奈良クラブさんには心から敬意を表します。怖気づいてもおかしくない状況の中、PK戦までもつれ込み勝ち切るというのは簡単には完遂できるものではないでしょう。よく鍛錬なさっていて、チームとしての意思統一が明確であるからこその結果であるといえると思います。

 

その点、一方で敗北したクラブはどこへ進もうとしているのでしょうか?

懸念された守備は一向に改善されないまま、1試合ずつ時間は確実に浪費しています。クラブのトップが風間体制で行くことを宣言したのは存じ上げていますが、それで何か特別にギアが上がったとか、迷いが消えて守備の出足が早くなったとか、危機感に基づいて実際に反映された要素はまだありませんでした。勝者である奈良クラブさんに大変失礼な言い回しになってしまい申し訳ありませんが、J3以下に所属なさっているクラブを相手にして片鱗さえも実現できない理想を目指せるほど現状に余裕はありません。試行錯誤はせめて勝ち点35を獲得してから始めていただきたいものですね。そんな理想への道のりは挑戦とは呼ばないでしょう。

 

蛮勇や無謀という言葉のほうがお似合いです。

 

難解な現象をわかりやすく言語化してピッチに落とし込む能力が高い指導者らしいですが、今のところその片鱗は視認できませんね。ピッチに継続して現れないものは何とも判断のしようがありません。

 

いまだに強く信任している方は今度は何にすがるのでしょうか?また別の若い有望な選手にとっかえひっかえ惚れて夢現を過ごしますか?確かに若さや可能性に期待したくなる気持ちもわかりますが、次々に新星に惚れて騒いで数試合でまたスポットライトをずらす様は尻軽でしょう。

あるいは忍耐とばかりに5年待てばよくなりますか?あと3年8か月待てば優勝争い常連クラブに変貌するのでしょうか?

どうして川崎さんで起こったことと同じことが起こると信じられるのでしょうか?選手も現時点(2年目)の方針も違いますよ?川崎さんと全く同じ過程・同タイプの選手・同じコーチを揃えているのなら少しはあり得ますが、そんなことも当然ありません。もっと言えば、5年前と何も変化のないチーム作りをしている時点で指導者としての妥当性は問われるでしょうがね。この5年でサッカーは認知面・技術面・戦術面とあらゆる方面でさらに進化しています。停滞は衰退と同義です。

 

それとも優秀な選手が足らないせいでしょうか?もしJ1超級の選手を全ポジションに揃えたら確かに常勝軍団になるかもしれません。

 

 

しかしそれなら風間式の必要性は皆無ですよね?

「風間式をしなくても強いチームが風間式でも強い」ことで評価されるのなら、サポーターにとっては苦い記憶になっている新米小倉監督でも同じことが言えませんか?彼も結果的にはうまくいかなかったとはいえ若手の底上げには取り組んでいましたよ?むしろ保有戦力を考慮すれば小倉監督のほうが台所事情は厳しかったでしょう。彼にはシモビッチ選手はいましたが、ランゲラック選手もシャビエル選手もいませんでしたし、CBの質・層の薄さも今以上に深刻でした。当時在籍していた竹内選手も悪い選手ではありませんでしたが、彼が第一CBとしてフル稼働を強いられる状況では厳しかったでしょう。

加えて、全ポジションを補強するということは、現状の選手では能力不足であることを認めることに等しいです。風間式による若手の強化が魅力ではなかったのですか?新星に惚れて騒いだ挙句能力不足となじり、今の選手ではだめだと批判し、成長を待てないのですか?本当に尻軽ですね。

優秀な選手を自前で定義し、数年のサイクルで輩出できるように今取り組んでいるんですよね?その先鋒となりうる若手がうまくいっていないのなら、現状のアプローチが何か間違っているか、そもそもゴールがおかしいかのどちらかでしょう。都合のいい時だけ選手を未来を担うホープにしたりJ2並みとなじったりするのは卑怯の一言に尽きます。

 

まぁ現実的な問題を考えるとすれば、

・中央でタクトをふるう選手(いわゆるレジスタと評されるような、遠藤選手・中村憲剛選手のようなプレイヤー)

・守備時はスピードがあって理不尽に相手を止められて、攻撃時は中距離に展開できる最終ラインの選手(日本にはほぼいないが、強いて言えば調子のよい時の槙野選手)

このあたりのタイプのプレイヤーがいないことと、失ったボールを回収できないこと、ボールを失わないようデザインされていないことが数か月前と変わらぬ課題です。

個人的にはまずこのあたりの特性を持ったプレイヤーをユースから引き揚げつつ心臓部として大切に育てるのが先決(難しければ外注してモデルケースとして確保)だと思うのですが、特別指定されるのはいつも小柄なテクニシャンやドリブラーばかりです。彼らには彼らの良さがありますが、彼らが得意な場面を作れる「使う側の人間」がいません。使う側の人間なしでは、メッシ選手でも輝けません。

そうした心臓部を外注しないための風間氏招聘であり、若手の抜擢だと思っていたのですが、どうやら違うようですね。田口選手の移籍が相当誤算だったのでしょうか。だとしても、グロインペイン症候群を抱える選手の代わりを務められる選手というのは優先度が高いはずだと個人的には思っていたのですが、どうやら違うようですね。

 

悪い話ばかりしても気が滅入るので、今シーズンになって好転したことも考えます。

秋山選手のフィジカルがかなり強靱になり、相手に当たり負けしない強さを備えてきたように思います。深堀選手は公式戦でも自慢のスピードからゴールを決めるなど、自身が持つ長所へ自信を深めつつあります。新井選手は帰ってきました。今のところ怪我の再発もありません。松本選手も大けがから不死鳥のごとく甦り、まもなくピッチの上に力強く現れようとしています。ほんの一例であり、多くの選手たちが日々研鑽しできることを増やしています。

 

ここまで記述して気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、いずれも個人の頑張りです。個人が気づき、個人が成長し、前進しています。徹頭徹尾個人です。個人の成長ももちろん重要ですが、ボールを保持するためにフィジカルやスピードが役に立つのなら、チーム全体で推し進めたり、余地ある若手に勧めて対応力ある選手へと成長を促すことも重要でしょう。むしろそれが育成の意味だと思います。ある選手の成長パターンを蓄積させない限り、どこまでも個人のひらめきと頑張りにすぎません。良質な育成を再現できません。これでどうやってスタイルを確立するのでしょう。

 

名古屋らしさを確立するうえで、私は選手はほぼ揃っていると思います。クラブもここ一年の経営努力は称賛されてしかるべきでしょう。中には #川崎と比べると何もしていないに等しい とされる方もいらっしゃるらしいですがね。

しかし、負け続ける今の状況がさらに続けば、いずれ期待は色あせ、有望な選手は引き抜かれるでしょう。私はそうなってほしくはありません。

しかしながら、ベストメンバーを揃えて地域クラブにさえ殴り勝てない、守り抜けない惨状を目の当たりにして、希望を持てというほうが難しいでしょう。そんなスタイルを信じぬくといわれても、目標が間違ってないか?と疑いたくなるのは自然なことだと思います。

 

もしかしたら、偶然の化学反応こそが名古屋グランパスの将来を担うスタイルなんですかね?それならJFA代表にいい監督がいるのでご紹介しましょうか?

いつも試合のたびに「良かった」とおっしゃるポジティブな指導者ですよ。きっとよい化学反応が期待できそうですね!!    ※勝てるとは言ってない

 

2018.6.13 追記

2016年度から更新されたPKのルール適用違反によりPK戦のやり直しが確定しました。よって、敗退が確定ではなくなったため題を修正しました。