炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

メディアは保育無償化の公約を糾弾しても、解決する気はない

headlines.yahoo.co.jp

 

こんにちは。火力不足です。

 

保育園の全面無償化について、安倍政権を糾弾した記事になっております。まぁ公約を守らないのを責めるのは自由ですが、今のマスメディアが自信ありげに言える話でもありませんよね。実際誇大広告にフェイクニュース・印象操作に電子ゴミの生成と好きなようにこき下ろしてきたにもかかわらず、いきなり政権に対して唐突に正義の面をされてもなんとも複雑な感情しか湧いてきません。勿論発信者に関わらず正しいことは正しいのですが、解決する意図が記事からは全く見えません。政権をしばきたい意図は思い切り見えますがね。

 

本日は、記事から解決する意図がさらさら見えない理由について記述することを目的とします。

 

 

目次

・公約上の限界

・相変わらずの情報不足

・まとめ

 

・公約上の限界

公約というのは、達成されてしかるべきですし、達成されなければ糾弾するべきでしょう。そこは正しいです。ただ、もし公約として「首都圏における保育園の不足は顕著になっているため首都圏を中心として待機児童の配分を見直し…」と極めて真面目に述べていたらどうなるでしょうか。大抵の人間は聞き流すか、長いと思って心証を悪くするのではないでしょうか。そこで実現可能かどうかをきちんと調べる人は1%もいないでしょうね。そこまで論理を構築して1%の得票を狙うのは無意味です。それよりは、印象と耳触りのいい言葉で何となく決める層と組織票を取り込んで勝つ方が残念ながら現実的ですし得策です。要は政治に関心の低い国民を反映しているだけにすぎません。なぜ政治に関心が低いのかと言えばそのための媒体がわかりづらいからとも言えます。勿論自分で調べる層は調べますが、大抵はテレビか新聞といったマスメディア頼りの方が主流だと思いますから、今回の「公約破り」は新聞の敗北・怠慢とも言えてしまうわけです。素人でもちゃんと調べようと思えば調べられるわけですから、論理的に批判して監視できないこと、感情的にフェイクニュースや電子ゴミを垂れ流すことは公約違反以上に酷いと思いますね。

まぁたっぷり論理的に正当なデータを用意して批評することを期待します。

 

・相変わらずの情報不足

そして、記事としてどれだけ素晴らしい反論を見せてくださるのかと思えば、公約違反に負けず劣らず突っ込みどころが多い記事となっております。

 

以下、記事の気になった点を抜粋します。

 

「ちーがーうーだーろー!」待機児童問題に取り組む市民グループのメンバーで東京都世田谷区の男性(41)は、流行語の書き出しに続いて「認可(保育所)に入れる人と入れない人の格差が広がり、認可への申し込み殺到が予想されます」とツイッターに投稿。これまでに約4000件リツイート(拡散)されている。

 

4000件は少ないとは思いませんが、多いとも言えないでしょう。多くの関心が集まるツイートですと万単位には乗りますし、もっと深刻なら10万単位に至るでしょう。拡散力の不足か、限られた人たちの問題として認識されていると考えた方が個人的には良いと思います。民意というにはいささか不足しているように思います。

というのも、議論されていない情報が毎度多すぎるからです。そもそも保育施設はどの地域にどの程度足りていないのか、足りていないとしたらそれは公設か私設か、そこに集まる保育士の待遇は十分か、保育施設は十分だが安いところに過剰に集中していないか、認可外の高額な保育施設をあえて利用するといった想定から外れる層がどの程度いるのか、など本来解決の為に必要なはずの情報がなぜか一切登場しません。

個人的な感覚としては、足りないのは都市部などの人口が集中している地域の安い保育所で、そこで劣悪な環境で働かされる保育士の不満があたかも保育士全体の不満であるかのように伝聞されているというのが落としどころだと思います。

 

利用料は認可保育所より高いが、同区が差額を補助する。それでも「認可外施設」であり、無償化の対象から外れる見込みだ。都の担当者は「認可が無償化されれば、ますます差が広がる。自治体による差額補助には限界がある」と話す。

 

結局のところ、利用者が払う保育料が高いのがいや、ということに尽きるのではないでしょうか。確かに安く済むならそれに越したことはありません。ただ、安く済むということは働く保育士の環境が悪化しやすくなることを意味しますし、それは愛するわが子に不幸の種が芽生えやすいことを意味します。

税金を投入すればよいと考えるかもしれませんが、そもそも保育施設の不足が地域差のある問題である以上、全国に税をかけるというやり方はなじみません。保育施設の多い地域の自治体が集める住民税か、利用者の保育料で賄うやり方が現実的でしょう。そうなると、どちらにしても当事者は投資する額を増やさざるを得なくなりますから、いっそ最初から高めの保育施設に投資すれば解決するのではないでしょうか。勿論、あまりに高すぎたり、金銭的余裕がなく難しいのであれば、家庭内保育という形にシフトするだけだと思います。

無償化しても、余計に保育士に「やりがい」を求めて地獄ができるだけだと思いますね。

 

認可外利用者の4割は、認可に落選した子供たちだ。

 

あと6割はどういった層でしょうか。そこも併せて記述していないため、そもそも「認可に入ることが至上」とされてしまっているように思います。確かに安さは魅力ですが、その分営利目的ではありませんから子供の体調不良には無力ですし、時間の融通も利きません。そういった認可と異なる長所を持つという点ではまだまだ不認可も一定の需要はあるでしょうし、そういった差異と選択についても分析を期待したいのですがね。

 

安倍政権は待機児童対策として2020年までに32万人分の保育の受け皿整備を目指すとしているが、それらをすべて認可施設でまかなえるわけでもない。多様な保育の受け皿として期待されてきた企業主導型や地域単独の保育事業が無償化の対象から除外されれば、事業者の参入を妨げ、待機児童解消がさらに遠のくことになりかねない。

 

まぁ目指すだけでしょう。少子化も世界最高の速度で進み、企業内での保育施設の整備も進む中、保育施設をタケノコのように増やしても数年後には皆が忌み嫌うハコモノ行きです。難しい問題なのは確かですが、余ることが確実な状況では簡単に増やせません。実際、実態を把握した改善が全く行われていない以上、待機児童を解消するのは現実的に難しいのでしょう。

 

広告と違うものを売りつける

 

 聞こえのいい公約を掲げ、選挙後に尻すぼみになる。これを専門家はどう見るか。

 

 元三重県知事で早稲田大マニフェスト研究所の北川正恭(まさやす)顧問は「選挙や公約の信頼感をなくすことになり、大きな問題。有権者とメディアは、きちんと文字と数字で検証すべきだ」と警鐘を鳴らす。「党内で徹底的に議論して合意を得たものが公約になるべきなのに、今その経緯を踏んでいない。今回の公約は安倍総理の願望の羅列に過ぎず、選挙後に現実的な議論が出てきたのだろう」と見る。

 

 政治アナリストの伊藤惇夫さんは「そもそも全面無償化は財源にも無理があり、バラマキだと思っていた。無償化よりも誰もが安心して預けられる保育所を増やすべきだ」と述べ、公約を宣伝チラシに例えた。「店に入ったら広告と違うものを売りつけられる、ということ。公約の中身とのくいちがいはきちんと指摘し続け、次の選挙で評価を下すのを忘れないことが大事です」

 

ということできちんとメディアに良い点・悪い点の論理的な分析をお願いしたいものです。批判していたはずの「広告と違うものを売りつける」行為を2週間後くらいに平然とするような笑えないブーメランはやめてほしいですね(笑)

 

・まとめ

結局のところ、メディアが母親の不安を煽り、出費を促している側面も少なからずある以上、本気で解決するための記事は書かないのでしょう。また、国としても、今本腰を入れて待機児童問題に取り組んだところで、将来ハコモノ化する可能性が極めて高いので、団塊が去るまでの数十年を、だましだまし乗り切ろうという算段なのでしょう。ただ、そんな一つの世代が旅立つまで耐えますなんて口が裂けても言えませんし、支援をすると言えば実現可能性を無視して簡単に票を集めてしまえるのが日本の現実です。

政治に文句を言う前に、有権者として手ごわくなってみるのが一番政治への文句になるのではないでしょうか。「お前らの甘言には乗らない」という明確な姿勢を示すことになりますからね。