炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

たとえ完璧にこなす男性が登場しても、産後うつは決して解決しない

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こんにちは。火力不足です。

 

コウノドリ」というドラマから女性の悩みを取り上げた記事ですが、はっきり言って解決する気はなく、ただ女性側の共感と怒り・男性側の諦めと絶望を強めるだけのものです

多分確信して書いているでしょう。こうすれば男女間の断絶はもっと進むと。

ついでに、ドラマ化してしまったことで過剰な女性への媚びが含有されてしまったように思います。原作を読みましたが、ドラマほど過剰に女性目線を強調することもなく、社会的な医療漫画として興味深いものでした。

 

本日は、この記事によって女性の産後うつが解消しない理由を記述することを目的とします。

 

 

目次

・どうあがいても絶望

・好感度が落ちた結果

・記事中の行動がアホ

・まとめ

 

・どうあがいても絶望

妻側の苦労は散々記述されているので割愛させていただきます。とはいえ、個人としても育児が女性側に負担がいきやすい構造であることは重々承知しています。

ただ、そもそもなぜ女性は一人で子育てしなければならなくなったのでしょうか?20世紀には3世代同居というやり方があり、とりあえず家族や社会で子育てをするという形式はありました。女性本人の負担はともかく一人での子育てではなかったわけです。そして、そこから核家族に転じたわけですが、それは感覚としては女性自体が選んだ道のように思います。まぁ主に姑から色々家庭で言われるわけですし、介護も押し付けられるわけですから、本人たちからすればあまり気分の良いものではないでしょうね。選ぶこと自体は正解かはともかく妥当ではあったと思います。

ただ、厄介な(嫌いな)姑たちから逃れることはできましたが、もちろんその分一人での育児は求められるようになりました。姑の干渉を疎むような方々が、はたして社会での子育てを容認するでしょうか。周囲の見知らぬジジババが積極的に子育てに絡んでくることを笑顔で受け入れられるでしょうか。

そんなわけはなく、「都合のよい時に適切な支援が欲しい」と言わんばかりの受け身姿勢になったことで、周囲は干渉できなくなりました。叱れば通報され、不審者呼ばわりされるような世の中で、誰が叱る役や憎まれ役を買って出て、社会で見守る子育てをしようと思うのでしょうか?

要は、自分たちにとって快適な空間を作ることに腐心しすぎて周囲を追い出しすぎた結果孤立し、今の女性の産後うつが起こっている一因となっていると考えます。女性だけを被害者とか悲劇のヒロインだとか考えても一生解決しません。断言できます。

 

さて、ここまで一切夫が登場していません。正確には登場できません。性的役割分担が当たり前のときに、相手の仕事に干渉することはできません。知識もありませんし、下手な干渉は本業を疎かにすること、相手を信頼しないことに直結するからです。いくら育児のエキスパートでも、金を稼がない夫を選ぶ女性がほとんどいないことは現代が証明しています。また、凡人はリソースの集中こそが生命線です。あれもこれもできませんし、馬車馬のように働きながら育児はできません。精神力も時間も足りません。

また、中途半端に関与できる夫は、「やってあげてる感」を本人が出すか、女性側が感じ取るか、家事や育児を「女性が望む手法」でできず、女性側が不快になるので学習して行動しなくなります。あるいは女性にとって見当違いの感謝を積み上げるコミュ障(女性目線)になります。

そして、完璧に女性側のニーズを把握できるスーパーマンは、女性側の精神を乱します。「私がいなくても回るんだな」と自尊心を無自覚に傷つけます。その精神ケアもできる超人もいなくはありませんが、凡人の手に届く観測範囲にはいないので考えなくてもよいでしょう。実際そのレベルの男性の横には同等レベルの女性がいるか誰もいないかどちらかでしょう。

 

話が逸れましたが、要するに、凡人男性(夫)の行動マニュアルがありません。特に、女性にとってほぼ必須条件と言える経済力と、産後の総合的なケアを両立するための万人向けのやり方が存在しません。「配慮してほしい」とか「参加してほしい」という声はありますが、具体的にどういった行動が配慮なのかは説明されませんし、手伝いでは当事者意識がないと言われますし、すべてやってしまうと立つ瀬がないと言われてしまいます。そして、経済力がおろそかになれば当然のように不平は出るでしょう。正解不正解で語れる分野でないのは承知していますが、夫はどうすればよいのでしょうね。

どうあがいても絶望です。ダブルバインドならぬマルチバインドです。

 

・好感度が落ちた結果

そして、いったん女性側の好感度が落ちれば、どうすることもできません。男性が女性の不満を取り除くことはできません。女性からしても、自分にとって大切な苦しい場面で、頼りにならない人間の好感度が下がるのは当然のことです。しかし、下がった分は金輪際回復しませんし、情状酌量の余地もありません。忙しさなんて理由になりえません。

例えば、出産時に夫が頼りにならずオロオロしているだけでもマイナスポイントと考える妻はいらっしゃいます。医師や看護師はしっかりしているのに、オロオロしていて情けないことがマイナスと考えるそうです。ただ、実際のところ、出産時に専門家が頼りになるのは当たり前ですし、初めての素人が頼りにならないのも当たり前です。確かにプラスにはとらえ難いでしょうが、専門家と素人を比較するのはフェアではないでしょう。

こうして様々な形で不満がたまった女性は、その不満を直接夫にぶつけるか、他者に悪口や愚痴という形で発散するでしょう。直接言えば、夫は「やらなきゃ」とは考えるものの、大抵は「妻のルール」を克服できなかったり、時間が足りなかったりして、家庭を維持できても仕事に支障が出ます。仕事に支障が出れば生活にも影響しますから、両立を何とかしようとするでしょう。実現できなければ責任感から自分を責めるでしょうね。こうなれば後は鬱へ一直線です。パフォーマンスを上げようと必死になった結果、かえってパフォーマンスが下がり、結局家庭にも仕事にも悪影響を及ぼします。

また、他者にぶつければ、基本的には共感されるでしょうから、夫への気持ちは薄れていきます。自分自身が我慢していることが募り、共感され、自分の正しさを重ねながら、いかにして離婚するかを考えるようになるでしょう。こうなれば夫にできることはもうありません。ある時いきなり下される三下半を受け入れるか、DV夫のレッテルを張られて過ごすしかありません。圧倒的に無力です。抗議すればDVの証拠を強化されるだけです。

 

・記事中の行動がアホ

そして、実際に事例として挙がっている記事中の行動も、もう少しやりようはあっただろうの一言に尽きます。イライラするのも、不安になるのも、体調を崩すのもわかります。他者に毒のある言葉を吐きたくなるのもわかります。ただ、それで人が納得できるかは別問題でしょう。

以下、疑問に思った行動、言動についてすべて引用します。

 

“SNSには子どもが生まれ、幸せいっぱいの写真が多数投稿”

 

SNSに最高の瞬間を切り取り、他者に見せびらかすことを考えているから、最高の瞬間だけを求めるようになりますし、現状が他者に伝わりません。かといって怨嗟の言葉ばかり吐いても問題ですが、「理想の母親にならなければ」という呪縛にSNSによって縛られているだけです。他者の幸せそうな一瞬に影響を受けて自分を卑下してしまうのもSNSを気にしすぎるとよくない点です。

 

“「一日家にいるのに、流しには汚れた皿が山積み。子どものおむつもちゃんと替えていないみたいだし。たまに起きてくるかと思ったら、『あんたはいいよね、外で好き勝手にできて』って、充血した目で僕をにらむんですよ」”

 

子育てに忙殺されて、家事ができないことは仕方ありません。ただ、そのあとの恨み言が完全に不要です。言いたくなるのもわかりますが、不要です。余裕があるときに訂正して、感謝を伝えないとお互い何も得しません。こういった言葉を受けて、夫は頑張れるでしょうか?仕事だって嫌なこと、理不尽なことはあります。ののしるより感謝したらどうですかね。

 

“「あのさ、奥さん、本当に眠ってるのかな……」”

 

眠れていないのなら保育に投資しましょう。家族の大切な健康のためです。お金と人脈の使い時だと思います。きちんと夫婦で話し合い、手を借りられるのなら親の手も借りた方がよいでしょう。育児が大変なのは承知していますし、妻に負担が偏りやすいのもよいことではありません。ただ、その分夫が楽をしていて呆けていることはあり得ません。そんな男性は結婚していません。短絡的に夫が悪いで解決できるならよいですが、むしろ悪化していますよね?

また、こういったケースを夫に認めさせるのであれば、夫が連日飲んでいたり、仕事の愚痴を繰り返して家事をしていないとき(育児は一区切りしたと仮定する)に、妻たちは「あのさ、旦那さん、本当に遊んでるのかな……」という声が自然に出せるのでしょうか?夫が大変な時は自己責任で、妻が大変な時は夫の責任というのはあまりにもばかげていますし、自立した女性に対して失礼です。

 

“「夫は産前産後で生活のペースは変わらないけど、私はすべて赤ちゃんに合わせた生活。『あなたはいいよねー』とひがむようになりました」”

 

“「里帰り後、自宅に戻ると、夫の言動すべてにいらだちを感じるようになり、同じ部屋にいることすら嫌になった」”

 

上記の通り、いったん好感度が下がるとどうしようもありません。同じ部屋にいるのも嫌になれば夫にできることはもうありません。話そうとしても「生理的に無理」の一言で終了です。

 

“「子育てを人ごとにしている」「つらさを共感してもらえない」など、妻の不満はたまりにたまっているようだ。そんな妻に「産後うつごっこしてるの?」などと、心ない言葉を吐いてしまう夫もいる。”

 

そして、妻の負担を散々語ってくださった挙句、夫の不満は「心ない言葉」の一言で終了です。腫物を触るように怒らないよう、気分を害さないよう数年にわたって接してきた挙句、「あなたは楽でいいよねー」と妻からの心ない言葉を受けた夫の不満はどこへ行けばよいのでしょうか。飲んだり趣味に没頭しても、「楽でいいよねー」の一言で片づけられますよね。自己昇華するのが大人の男でしょうか。じゃあ自己昇華するのが大人の女ですね。

 

“内臓をはじめとする出産後のダメージは全治1カ月に相当するレベル。本当なら、横になって休養をとるべき時期”

 

アメリカには育児休暇は日本ほど整っていません。金曜日に早退し、月曜日にまた平然と出社して業務を行う女性もいらっしゃいます。勿論スタンダードであるとは言いませんし、それが標準だ甘えるな、正しいんだというつもりも毛頭ありません。ただ、社会進出と自身のキャリアに誇りを持ち、自分にとっての優先順位を明確にしていらっしゃいます。

 

また、それだけの負担が母体にかかるという事実があるのなら、休暇を取らせない社会システムを変えていく必要があるでしょう。特に、育児を終えた女性から「私たちの代では実現できなかったけど、男の人が一か月は家庭で負担を減らせるよう、権利として要求した方がいい」といった形で、情報や知識の伝播は起こってもよいずです。本当に夫との協力が重要と考えているのなら、例えば「夫を返せキャンペーン」といった形で何らかの要求はあってしかるべきでしょう。実現可能性はともかく、そのような「男性の負担を軽くすることで、家庭全体の幸福度を高める」ための手法は提案されるはずです。

でも、残念ながらされていませんね。時短勤務やフレックスタイムも結局加速させたのは高橋まつりさんでしょう。

 

“0~2歳児で34.2%。乳幼児を抱えるカップルがかなりの確率で破局の危機にさらされていることがわかる。”

 

子どもがそんな幼い時に破局するべきではないでしょう。誰よりなにより子どもに良い影響がありません。単純に暮らしとして貧乏になりやすいですし、親一人から受ける考えの偏りは大きいものです。価値観自体が無意識に狭量に育ってしまう危険性があります。子どものことを本当に考えるのであれば、歯を食いしばって数年は協力した方がよいでしょうね。

というより厳しい女性の審美眼を超えて見事選ばれたはずのエリート男性がなぜそろいもそろってダメンズばかりなのでしょうか。

 

“母子ふたりきりのブラックボックスで日々を過ごすうち、自信をなくした妻が将来のキャリアを見失ってしまうこともあるだろう。

 「産休、育休の制度は整っていても、『ご家庭のことは自己責任で』と産後のメンタルケアについてはノータッチの企業がほとんど。同僚も、家族水入らずで過ごしたいだろうから、と連絡を取ることを控えていたりします。実は、SNSの写真の幸せいっぱいな様子とは裏腹に、社会から孤立しているとも知らずに--」”

 

SNSに最高の瞬間しか上げないから、あるいはSNSでしかつながっていない関係だからの一言です。そりゃ幸せな写真しか写っていなければ放任するでしょう。関わる理由がありません。無駄に詮索する方がアホでしょう。そこまで察するのが企業の役割ですか?正確には、そこまでフォローすることを法律で決めたとしても、企業が辞めそうな女性を雇うのを止めるだけでしょう。

そして、母子二人だけになったのも、先輩女性の咎にすぎません。自分自身にとって不快な、わかってくれない察してくれない人間を周囲からどんどん追い出した結果、誰も干渉しなくなり孤立しただけです。なぜそこまで自立した女性に配慮が必要なのでしょうか?自立した女性の皆さまは間違いなく優秀ですし、言語化されてもいないような見当違いの「手伝い」をしても無意味だということは自称イクメンが散々証明してきました。女性を過保護するのは女性を信頼しない差別行為ですから、具体的な支援の申し出があって初めて整えればよいでしょう。それこそ、SNSにHELPのサインがないのに手伝っても無意味です。

 

“「産後うつ産後うつ未満問題」解決のキーパーソンは夫だ。”

 

違います。断言できますが違います。これ以上夫に求めても何も解決しません。やれる人はやるでしょうが、結果不幸な結末を迎える家庭の方が多いでしょう。

必要なのは、経験者女性の情報・知識還元と、夫婦間のコミュニケーションの強化ならびに言葉の選択の問題です。現在の労働環境自体がおかしい、夫は夫だ、ATMじゃないということを女性主導で動かし、そして育児の主導権を男性が握ってもよいことを女性が容認する必要があります。加えて、例えイライラしていても毒を吐くのではなく、可能な限りやわらかい言葉で伝えたり、時に吐いてしまってもあとできちんと謝り感謝を伝えることができれば、自然と何とかなっていくとは思いますがね。

 

“保活終盤なのに「認可保育園と認可外保育園って、どう違うの?」などと基本的な質問をして、「何もわかってないのね!?」と妻を失望させてしまう夫も多いようだ”

 

双方のコミュニケーションが殴り合いの悪い見本です。夫はもう少し調べて長所や短所を勘案して聞くべきですし、妻も返す言葉が最悪です。ここを「夫が悪い、無理解」の一言で終え続ける限り、永遠に改善はないでしょう。

 

・まとめ

要するに、妻の要求としてはわかりますが、「じゃあわかった。どうすればいい?」という部分が全く存在しません。自分で考えて配慮しろが答えなのでしょうが、答えになっていません。夫婦としての問題なのに、「夫が悪い、頑張れ、以上!」と言われて今の負担も減らずにこなせるでしょうか。解決策も示されずただ単純に負担が増えるだけのサンドバックとしての役割を求められて、自発的に多くの夫は取り組めるのでしょうか?

そんなことは過重でできないと言えば、減点法で嫌われて最後は自分の尊厳も奪われるくらいなら、じゃあ結婚はいいやという男性の一定数の行動が今の非婚に繋がっているのでしょう。そして、女性側も一人で生きられることならびに、粗悪な男性(性的に奔放でヤることしか考えていなかったり、失うものがなく、犯罪上等で接してくるような層) からの接触により普通の男性の実像がわからなくなった結果、非婚に繋がっているのでしょう。

女性に配慮して優しい記事を書いたつもりなのかもしれませんが、相変わらず甘言で自立した女性を侮る差別記事でしたね。よほど非婚を進めたいのでしょう。

地獄への道は善意で舗装されている」を見事に表す記事だったように思います。ふざけるなと思います。