炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

平等で妥当な現実

何もかもが、今季を象徴するようなゲームでした。

 

表を観ればフル出場・裏を返せばタスク過多による勤続疲労で中谷選手がオウンゴールをなさってしまったのは示唆的でしたね。重いタスクを背負った選手が損をし、下手に見えてしまいファミリーから酷評されるのももはや見慣れた光景です。

加えて、今シーズンを通して引いた相手を崩せませんでしたし、ボール保持と言いつつ最後尾からじっくり組み立てることもしておりませんでした。否、できませんでした。やっていないことはできないのです。3年間、ボール保持に取り組んできたとはとても思えないチームの様相がピッチ上にはありました。

 

もらったほうが困るような責任逃れのパスやコンビネーションがかみ合わない場面もシーズンを通して見られましたし、思い出すように中盤の空洞化も起こりました。パススピードの遅い足元へのパスは今日もからめとられました。それが今日も見られただけにすぎません。「いつも通り」です。やっていないことはできないのです。

守備時のリスクを度外視した攻撃全振り状態で得点してきたチームから、攻撃時のリスクを引いて守備に回せば、得点はできなくなります。合理的ですね。その分意味不明な失点は減少しました。適切な手法で取り組めば、ピッチ上に反映されるのです。

 

ある程度拮抗した相手との勝負である以上、どこかでリスクを冒す必要はあります。しかしながら、どこでリスクを冒すかというレベルではなく、チームに根付いてしまった「攻撃全振りでしか得点が取れないわりに、別にリーグで圧倒的な攻撃力を誇るわけでもない状態」がそもそもおかしいのですが、そんな野暮な話は教義に反するのでされません。攻撃的と呼ぶくらいが適当なレベルなのでマジックワードとしては妥当なのでしょうか。

そこまでの過大なリスクを取らずとも名古屋より得点を獲っており、ロジカルにボールを保持していらっしゃる他クラブさんもあるのですが、そんな野暮な)以下略

 

3年間を通して見ると、残酷なほどフェアですね。今シーズンはやたら誤審に苦しみましたが、プレーオフ・湘南さんとの2PKと、ここ二年の僥倖を清算できたのであれば安いものです。今年だけ見れば間違いなく損はしていますが、そもそも損しかねない後追いの場面を頻発させたことに関してはどうなのでしょうか。「不運」で片づけますか?片づけたほうが都合がよいですもんね。そして、現体制に関しては今の状態が実力であり限界とするのでしょう。そのほうが都合がよいですもんね。継続性を掲げながら、ろくに魅力的なサッカーが継続しなかったことに関してはいかがでしょうか。それもたいへん「不運」でしたね。

 

今更のように、なんで風間氏を解任したのかという声があふれています。正直めちゃくちゃ面白いです。声を上げている方々の大半がついこの前の8月には絶望していた方々なのがチャームポイントです。もう少し時計の針を戻せば、1年以上経過した時点で「自分のサッカーを浸透させるにはもう少し時間がかかる」と仰っているケースもあるのがお茶目ですね。残りは名古屋より風間氏の人間的魅力がお好きなのでしょう。

去年の8月のごく一時期の最高到達点と、まだ見ぬフィッカデンティ監督のワーストを比べて、「それ見たことか!!」という掌返しが巻き起こっているのは他サポ様必見です。

 

大真面目に今更きちんと振り返るのであれば、

 

ACLを目指すというシーズン当初の目標を達成不可能なラインまで低迷したこと

・魅力的な攻守一体サッカーが試合を経て浸透するどころか、むしろ解体されていったこと(見られる時間が減少していき、上向くと考えにくい状況に陥ったこと)

・監督のマネージメントが適切に機能していないと思われる試合が見られたこと

・若手を前半で交代する選手起用が見られたこと

 

名古屋のプロジェクトを実現できる存在として風間氏を招聘したのに、それを実現できなかったため、目標未達で契約を解除したというのが落としどころでしょう。

 

風間氏を熱心に取り上げていらっしゃるライター様が有料で風間氏の手腕として挙げている要素を振り返ると、

・多くの人を惹きつける圧倒的なカリスマ性 
・魅力的な攻撃サッカーの実現
・優勝争いができるチームへ育てる手腕
・若手の思い切った抜擢と成長

この辺りが挙げられておりますが、そのうちのカリスマ性以外に疑問符が付くような状態が継続したことが決め手と言えそうです。何が「名古屋は大丈夫」だったのかそろそろ説明してほしい

 

疑問符が浮かぶ状況に拍車をかけたのが、フロントの熱心なサポート体制です。

夏の移籍で大量にレギュラーを争う選手たちが移籍していくまでは、公言通り優勝を狙いに行ける陣容でしたし、そこまではリーグ屈指レベルに風間氏を支援しておりました。それはシーズン当初多くの方が間違いなくおっしゃっていましたし、今シーズンの3分の1が終わった時点でもその認識は揺らいでおりませんでした。さすがに今更クラブのサポートが不足していたという後出しはあり得ませんよね?

そんな恵まれた陣容を抱えながら、昨シーズン・一昨年のシーズンをなぞるかのように、勝てない時期が続きます。新加入の選手たちが染まり、ボールが足元にあることが目的化する時期が到来します。

 

同時に、夢や希望・攻撃的・技術・巧さといったふわふわワードが跋扈し、「攻守一体のサッカー実現」という言葉だけが独り歩きしていきました。空からいきなり理想のサッカーが降ってくるのを待ちわびるように、何も変わらないいつも通りを文字通り貫いたまま、(多くのファミリーの言葉を拝借するならば)つまらない試合が続きました。貫けなかったことを後悔しているように見えて、ファッション貫き状態が漫然と続いておりました。

時間をかけて改善していくどころか、目に見えて停滞・酷く言えば悪化していきました。(川崎さんだけは慢心があったのか名古屋以上に中央に固執し、悪い時の名古屋は相手からするとこうなっているのか…という発見をくださりましたが)

今振り返っても、当時のどんな要素に夢や希望があったのかはわかりません。選手の頑張りを結果に、成長につなげられない無念さと空虚さに満ちておりました。全て揃えたはずなのに停滞を続ける空虚感は明らかに選手層が薄かったり、予算が今ほどなかった西野期・小倉期を個人的には超えたと思います。(ここは個人の感じ方なので判断が分かれると思います)

 

例えば今の磐田さんのように、試合を繰り返すごとにできることが増えていき、「ウチの選手こんなこともできるんだ!!」というポジティブな発見が毎試合のようにあり、壁に当たりながらも就任から時間をかけて状態がよくなっているのであれば夢や未来があるという表現は至極最もです。むしろ反論の余地がありません。

 

しかし実態は、昨年度の過去最悪クラスの時期でさえ支持なさってきたファミリーであっても、もう無理と諦めるような状態に陥りました。明らかにファミリーが夢を語るのをやめた分水嶺があったのです。

 

 

karyokuhusoku.hatenablog.com

 

 

 

フロントの考えとして最も気になるのは、「風間氏でもしうまくいかなかったら?」というリスク管理に対してあまりにも脆弱だった点ですね

就任して頂いた監督を全面的にサポートする体制は素晴らしいですし、称賛に値するものです。ただ、どうあがこうと風間氏とはいつか袂を分かつ日は訪れます。

前述したように、ミッションを考慮すればさらにリスク管理は必須です。なぜなら、すべてを達成できれば何一つ憂いはありませんが、現実問題として

 

・優勝争いをする

・魅力的な攻撃サッカーを名古屋の礎として植え付ける

・若手を積極的に抜擢し、育てる

 

のうち、どれかを満たしたが全部ではなかったというのは十分に起こりうるケースだからです。さすがにそれを想定していなければ恥ですね。その際の優先順位や達成度が明確であるほど、後任監督も明確にしやすいのですが、ここ2年どうやって風間氏の仕事を引き継ぐかというのはあまりにも疎かでした。怖いくらい風間氏が完璧に仕事を全うすることを前提に動いておりましたね。

 

ここまで酷くなるとは多くの方は予想していらっしゃらなかったみたいですが。

 

フラットなサポーターレベルで批評するのであれば「前評判ほどの手腕を名古屋では結局見せなかったし、評判がいささか過大に先行していた」くらいが妥当だと思います。

全体を評すれば「良い時期もあったけれど総合すれば期待外れだった」でしょうか。

私の感想である「知ってた」も、信奉する方々の「夢や未来に溢れていた、まだ間に合うからカムバック」も極端すぎるのでしょう。

 

話を戻せば、「ボールを保持できるようになるが勝てない」というルートは、(今シーズンほど酷くなるかはともかく)陥る可能性としては十分起こりうるものでした。ボールを保持できても多くのクラブがぶち当たる課題であり、名古屋とてそれは例外ではないからです。

 

 

ここは自称翻訳家様や有料ライター様の非常に洗練されたご解説をぜひとも拝聴したいところなのですが、主体的にボールを保持すると言いつつ、マイボール時にビルドアップすらできていないのは何故なのでしょうか。

主体的といいつつ、能動的に相手を動かす機会に乏しいのは何故なのでしょうか。逆脚の精度という重要な技術が一向に「巧く」ならないのは何故でしょうか。

なぜインサイドキックのフォームがパターのようにボールを押し出す姿勢から変わらないのでしょうか。

 

これらはボールを主体的に保持するうえで基幹的な技術だと思われるのですが、なぜそれは対象外なのでしょうか。これらを対象外にしてまでも身に付けた大切な技術は、たかが別の監督に代わって数か月で消えてしまうほどの儚いものなのでしょうか。

 

要するに、目指したいものが風間サッカーであれば、実現するのは風間氏が適任です。ただし、ボールを主体的に保持するサッカーを貫くのであれば、風間氏の成績が芳しくない際に路線を継承できる監督のリストアップ位はしてしかるべきでしょうし、実際風間氏が最適任とも言えません。路線継承者がフィッカデンティ監督というのも違和感があるので、結局第二の矢を持っていなかったのでしょう。それはフロント内に確固たる評価基準がなかったということでしょう。残念です。

 

 

結局、勝負の今シーズンに何がしたかったのでしょうか。ACLを本気で狙っていたことはわかりましたが、肝心の継続性がなかったのです。なかったのです。あったことにはなりませんし、してはいけないのです。壊したという言葉も見かけましたが、何を壊したのでしょうか。内輪の雰囲気でしょうか。

確固たる基礎を築くために、それを継続するために招聘したマエストロが継続できるものを植え付けられず、それ以外も芳しくなかった。これだけではないでしょうか。

たったそれだけを理解するために今シーズンを通して心中するべきではありましたが、もはや後の祭りです。それすら理解できず、ひたすらに美化された過去を再生し、たらればを語るのみです。

 

連勝時の歓喜に回顧し浸ることを選ぶのであれば、もうそれは仕方ありません。

                                 

                                    了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下本音タイム

 

 

ここまで読んでくださるもの好きな方はお気づきになったと思われますが、根源は風間氏そのものではなく取り巻きだと今シーズン中に気づきました。風間氏も標榜していることをピッチ上に落とし込めていないのは確かなのですが、

・そんな監督はいくらでもいること

・よくよく調べてみると本人が断言したケースがほとんどないこと

・監督自体、生きるため自分の仕事ぶりをブランディングする必要性があること

 

この3点から、そのうちまぁ単なる手腕不足やなと思うようになりました。選手を守れない采配は川崎さんのころから好きではありませんでしたが。

そもそも一次資料として風間氏が明確に断言したものがもはやわからず、著書などで主張なさっていることも広義でどうとでも解釈できることが非常に多いのです。もはや代名詞となっている「止めて蹴る」も、ボールを正確な位置に止めることにより自身の選択肢を増やし、その中から最適なものを選択するという至極まっとうなものです。

あくまで選択肢を増やすための手段であり、時に手段が目的化することもあり得ます。

よって、本来はそれを紐解くプロフェッショナルがいらっしゃるはずなのですが、これが本当に酷く、それぞれの翻訳家がほざいていることをかき集めると風間氏が完璧超人になるという何とも不可解なことが起こっておりました。

加えて、カルトじみた断言は数多く為され、「成長」「未来」「希望」「技術」と膨大ななんか心地よい系ワードは生み出されましたが、J1に昇格して以降、特に中身や実態が一切説明されないまま風間氏のカリスマ性だけが祀り上げられる現象が起こり続けました。

好きなクラブで起こっていることが何より気色悪かったです。

J2期はともかく、J1に昇格してからは選手を上位互換に交換→対策されていない時期に勝つ→対策されたら選手を交換→しばらく勝つ の繰り返しでしかなく、他クラブさんからすれば文字通り「名古屋は(警戒しなくて)大丈夫」という状態でした。今季途中までの磐田さんも遠目で拝見する限りではこんな感じでしたね。(磐田さんのサポーター様がもしお読みなら申し訳ございません)

 

プロフェッショナルしか気づけないようなボディアングルの使い方・ターン技術・相手を引き付けるボール保持などが解説される日はついに到来せず、選手の頑張りに依存し続けチームは摩耗していくなか、宗教のように時間がかかると言われ続けました。その根拠は川崎さんで5年かかったこと1点のみ。川崎さんでいう大島選手のような選手が台頭していないこと、そもそも前2年はカウンター寄りのサッカーをなさっていたこと、今名古屋が川崎さんと比較してどのあたりの地点にいて、どのくらいで壁を超えるかという根拠ある試算は一切為されず、「信じる者は救われる、信じぬものはアンチでありいずれ後悔する」と言わんばかりの残虐ぶりでした。風間氏と袂を分かったのち一部ファミリーはクラブの決断であれば支持するという舌の根も乾かぬまま、あれほど免罪符にしてきた「感謝」「時間がかかる」を早々にかなぐり捨て、クラブの決断を支持せず迷走と断じました。外側の人間は名古屋そのものをボロクソに酷評する徹底ぶりです。

当の川崎さんでさえ成功したスタイルの限界に直面しているという声もある中、呑気なものです。

舐めるのも大概にしていただきたいものです。

 

そして、そんな仕事ぶりを見事に反映するがごとく、未だに名古屋の風間氏による「積み上げ」とやらが説明されておりません。積み上げが確かにあり、名古屋がそれを壊したことを愚かだと批判することはあれど、そもそも積み上げとは何で、それが名古屋が求めていたものに合致していたのかは決して説明されません。 

崩壊が怖かったのと、終了時に積み上げなんてないだろ、ほら見ろきっちり反省できるだろという思いから今シーズンいっぱいの風間氏の続投を支持していたわけですが、この感じだと終わっても「まだ3年目」とほざいていた可能性が濃厚ですね。今年は審判のせいにもしやすいシーズンでしたし、現実から逃避して妄想を騙ることに関しては本業以上にプロフェッショナルです。

 

今季の夏の監督交代劇に2016年のフロントのドタバタぶり、無策ぶりを思い出して何も変わっていないことを嘆いていらっしゃる方は多かったようですが、当時戦力も経験も十分でなかった小倉氏をスケープゴートにしたように、フィッカデンティ監督と大森強化担当をまさに今スケープゴートにしたがっているので、見る側も何も変わってないことがわかったが最高に面白いですね。

きわめて平等で妥当です。サポーターが変わらずしてフロントが変わるわけがありません。逆もまたしかりですけれどね。

 

たらればに苦しむことになるだろうと以前の記事で書きはしましたが、ここまで露骨に表象するとは予想外でしたね。まぁ砂糖菓子で飾っていた正義が正体を顕すように醜く鮮やかに表象してきただけで私にとっては十分すぎるエンターテイメントです。ピッチ上のなんちゃってポゼッションより余程面白いですね。

面白さや楽しさなんて人それぞれですもんね。そうですよね。

 

嘘を妄想と事実と主張を自然に混ぜて人をアンチとして貶す驚異のテクニックには脅かされましたが、終わってみればシーズン一の笑い話です。最高に滑稽でしたね。

 

まさかわざわざここまで読んで時間を無駄遣いして自傷行為をしているよくわからん人がいないことを祈るとともに、ここまでお付き合いしてくださった読者の皆様に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。