炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

評価しようがない

残留という結果はほぼ手にしたと言えるでしょう。

歴史的な大敗をすれば入れ替え戦に回る可能性があるらしいですが、さすがに事実上残留は決定したという認識でよいのではないでしょうか。

 

早速来季へ向けて動き出せるのは大きなアドバンテージですが、ここで問題があります。

 

来季の監督を含めた体制です。

 

何ともフィッカデンティ監督の手腕を評価しようがありません。クラブが監督に課した明確なミッションが不明なので、情報に乏しい素人ではなんとなく「残留だろうな…」くらいの認識しか持つことができません。

そして、他力であれ、最終節を前にほぼ残留を決めております。欲を言えば自力で決めてほしかったですが、そこは昨季も変わりありません。難しい状況での就任から、間違いなくミッションを達成しています。

 

勿論、しかるべき批判点はいくつかあります。 

 

批判点

・就任後負け越している

・セットプレーからの失点が多い(セットして相手を待ち構えるスタイルを志向するうえでは致命的な欠点)。

・楽しくない(得点が入らない)

 

結果第一なのに、結果がついてきていないという点が批判の根本にありそうです。そして、これは実際もっともな批判です。

 

一方、擁護する声も少ないですがあります。

 

擁護点

・選手が志向と合致していない

・シーズン途中の就任でまとまった練習期間がない(理念の浸透に時間がかかる)

・セットプレーを除けば、ピッチ上のリスク管理は格段に改善しており、試合を重ねるごとに改善している(普通のチームになっている)

 

 

そして、来季この路線を継続するかですが…正直判断するための時間も材料も足りません。シーズン中盤に散々言われてきた「時間が必要」が今ほど合致する瞬間はそうそうないのですが、一切そんな声は聞こえてきません。不思議なものです。

せめてあと一か月判断できる試合があれば…と思うのですが、ないものはありません。ないものはないのです。あったことにはならないのです。

 

 

ここ2シーズンの風間氏へのサポートと同様のレベルで、フィッカデンティ監督に合致した編成を組めばそれなりの成績にはなると思います。ただし、優勝はおろかACL争いも数年は難しいでしょう。再び多くの選手と別れを告げることにもなります。

(我慢すればマリノスさんルートもあるかもしれませんが、きっとファミリーが耐えられないでしょう。そして、何より、我慢してうまくいかなかった際の反発・「だから言ったのに」という悔恨は今現在の比にならないレベルで大きくなるでしょうね。)

 

一方、残留ありがとうで監督と決別するルートも十分あり得る成績です。加えて、今のところファミリーが切望している「攻守一体の魅力的なサッカー」とはとても呼べない状況です。無失点を強みにしていくうえで、セットプレーからの失点が多いのも課題です。

例えば、主導権を握って攻撃すると言いながらビルドアップの形が一切ないようなものですね。言っていることとピッチ上でやっていることが一致していないじゃないか、という大変ごもっともな批判です。

 

イムリーなことにシーズン途中での就任ながら敵将磐田さんのフベロ監督は整理された攻撃を植え付けていらっしゃいましたし、J2では横浜FCさんの下平監督もロジカルな攻撃を構築しつつ、J1への自動昇格を成し遂げていらっしゃいます。フィッカデンティ監督に与えられた時間は多少短いとはいえ、Jリーグ内を見渡すだけでも3か月で魅力的な攻撃を植え付ける監督はゼロではありません。

その点をシビアに見て、ミッション未達という可能性もあり得ます。

だったら風間氏の2年半のミッションは何だったんだ…という疑念は私は生じますがね。カリスマ性でとにかく夢を創り崩れ切った状態を立て直すという仕事は見事でしたが、その先が続かなかったのは残念です。

 

どちらに舵を切るにもそれなりの覚悟と投資が必要になります。魅力的な攻撃サッカー実現への道を歩むのであれば守備の整備は避けては通れないですが、その土壌は残念ながらまだ名古屋にないでしょう。

 

 

ファミリーの感情ベースで語るのであれば、攻撃サッカーに飢えて我慢できない・すっきりしない・楽しくないというのがここ2か月を見ての偽らざる本音な気がします。クラブの決断だろうと、気に食わないものは気に食わないのです。そんなもんです。

別に悪いことでも何でもなく、当たり前のことですがね。

 

相手を別に動かせているわけでもなく、相手の陣形を崩せてもいない期間も長かったのですが、ボールが繋げていることそのものが心地よいのでしょうか。

  

 

あくまでフロントがクラブの段階を分析し、必要な監督と契約関係を結んで歩を進めるにあたって、崩壊したクラブを立て直すのに風間氏の圧倒的なカリスマ性は確かに必要だったかもしれません。 

 

クラブ・ファミリーに強い志向性を持たせるカリスマ性をはじめとして、風間氏には感謝するべきところもあり、もっとこうしてほしかったというところもあります。ただし、優勝を狙える陣容を揃えスタートダッシュしながらも、気づけば勝利から遠ざかり、圧倒的な攻撃力という言葉だけが独り歩きしました。いつしか最高の試合の甘美な数分間だけが、ビデオテープが擦り切れるまで繰り返され、遠い過去を振り返っておりました。

ガンバさんとの試合では夏休み期間にもかかわらず豊田で3万人を下回るという(フィッカデンティ監督基準で評価すれば大問題な)出来事が起こりました。ただ当時観客動員という点で「終わりの始まりだ」と危機感をあらわにした方はいらっしゃらなかったと思います。別にそもそも終わりの始まりでもないので、正常な反応ではあるのですが。

  

途中でのお別れになってしまったせいで無意味なたらればが跋扈しております。

とはいえ、たらればの中にはここ数シーズン追いかけてきたのか怪しいものも多々あります。

就任当初はなかなか戦術が浸透せず、ようやく右肩上がりで勝てるようになってきて、さぁここからだという道半ばでの解任であったなら夢をご覧になるのも尤もな話です。

しかし、そうではありません。2度あることは3度あると言わんばかりに、選手を入れ替えた直後に連勝し、そこからの上積みが見られないという継続性・一貫性とは対極の現象がピッチ上で起こっておりました。

未だに時間があれば…という慈愛の心をお持ちの方もいらっしゃいますが、当の川崎さんでさえ連覇が途絶え、変化が必要だという声が出始めている中で「(最低)5年続ければ勝てるようになる」というのはいささか楽観的過ぎる気がします。

 

良かった点、悪かった点は否が応でも振り返ることになります。降格こそ過去を美化せず、現実を受け入れるシーズンオフになることでしょう。サポーターも含めて。