炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

飢えていた勝利

最高に気持ち良い試合でした。川崎さんが悪い時の名古屋のように、やりたいことに固執し、中央を崩そうとばかりしたところを現実的に戦い抜きました。

今日の試合に限れば間違いなく勝つことに拘りきりました。目の前の一試合に集中するということはこういうことかと痛感しました。

今日ばかりは勝利を喜んでもよい気もします。選手たちは勿論、風間氏もやれる手を尽くしたように思います。

 

 

ということで、この一週間ポジティブに浸りたい方はブラウザバック推奨です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただし、別にピッチ上で何か劇的に変わり、進化したかと問われると実際"No"です。

今日に限れば風間氏も勝利に徹したとは思いますが、継続性というのがこの2年半ずっと立ちふさがってきたテーマです。

何なら昨年度も鹿島戦でドラマティックに戦い抜いています。今年はそれがおそらく川崎戦だったのでしょう。冷徹な言い方をすれば、34試合あれば1試合は当たりの試合があるでしょう。勿論こうした博打ともいえる試合の動かし方は賭博的な魅力はあるでしょうが、継続性・再現性は皆無です。こうした試合を続けることがまさしく継続性であり、継続について懐疑的な方を少なくするためには最も効果的なのです。

ただ、ややこしいのが、今日の試合が掲げている理想と合致するかと問われたらそれは断じて"Yes"ではないことです。

 

ボールを主体的に保持するサッカーを掲げているのであれば、単発なプレスでボールをみすみすタッチラインへ棄ててしまうとか、10人の相手に易々ボールを奪われ、きわどい判定に救われた紙一重のクリーンシートを達成するだとかは起こりえないことです。

粛々と相手からボールを取り上げ、10人になった相手のがら空きのスペースへボールを送り続けながら、適度にストレスコントロールを行い干し上げるような、能動的に相手を動かし疲弊させる狡賢さはかけらもなく、失っては途中出場のフレッシュな選手が追いかけるか人海で中央のスペースを死守するという我武者羅さに満ちた展開でした。

こんなことは理想を鑑みれば間違っても起こってはならず、10戦勝ちなしのチームでなければスコア以外大反省会でも何らおかしくありません。理想が本当にボールを主体的に保持することで、それに真摯に向き合えばの話ですが。

 

本日の川崎さんの姿を見ると、余計に理想がわからなくなります。

相手を観ず理想を追いかけていると思われる試合ほど、ろくでもなく攻守に見どころがないまま敗北しており、理想をいったん脇においた試合ほど選手は躍動し、結果が伴っています。川崎さんがSBの裏を突く名古屋対策を始めたころにはすでに2-0だったのも大きいですが、「対策をしてこない相手には互角以上に戦える」というのは周知の事実なのです。一試合という点で見れば、エモーショナルな試合ができることも周知の事実です。それが続かず、拘泥する理想が本当に正しいのかわからず、未だに彷徨っているのが最大の課題なのです。

川崎さんとの試合は間違いなく感情が突き動かされる試合ではありましたが、新しくわかったことは実は何もないのです。目指す理想って妥当なの?スタイルとは?という問いはむしろ強く突きつけられた試合でした。

 

 

今年も、「優勝を狙える選手が揃った」という公式の発言の下、開幕数試合で最強のセンターハーフコンビだとか、〇〇選手はベストイレブン行けるとかの、楽観論が数多く飛び出しておりました。

シーズン中盤になってその言葉を唱えた方々は例年通りどこかへ行き、「冷静になってみればそんなでもない陣容だった」と今年も選手たちへの手のひら返しと目標の下方修正がしれっと入りました。良い時に勢いがあるのはチームを反映しており、らしいと言えばらしいのかもしれません。ずっと恵まれた陣容だと言っていた身からすれば、やっはり腹は立ちますけれどね。


勿論、積み上げる中で軌道修正を強いられたり、立てた目標が高すぎたということは当然起こりえます。別にそれが起こること自体はあり得る話です。どうしても今現在チームにいないタイプの選手が必須なフェーズに至り、入れ替わりが避けられないこともあります。ただ、それが毎年毎年起こっていて、選手が激しく入れ替わる中で継続して発生しているとなると、


・理想の立て方がおかしい
・理想に至るための方法がおかしい
・長期が何年かは脇においても、選手が同じことを繰り返しているのは間違いなく停滞    なので、変化がないとおかしい。


このどれかを疑うべきです。疑いの声も上がりながら、それでもリセットの恐怖かそのほかの情念かにつき動かされ、戻る道も失いここまで来てしまいました。

そして、ここまで来たことで発生したことがもう一つあります。

 

J2時代から戦ってきた櫛引選手や秋山選手の移籍と、相馬選手の移籍ですね。
特に相馬選手については、他クラブさんから狙われる有望株が育ったということで、継続性の証憑として歓迎こそすれ否定されるものではないと思っていたのですが、実際は阿鼻叫喚の嵐でしたね。尻軽ムーブしまくるくせにされたら怒るのは節操ない。

風間氏が監督でなくなると選手が流出する、だから解任はいけないという意見も拝見しましたが、知らんの一言です。わかるはずがありません。

正確には、交絡要因が多すぎてどれも推測の域を出ません。

少し考えるだけでも、
・スタメンで出られるか(出場機会が増えるか)
・年俸が上がるか
・海外移籍のチャンスがあるか・マーケットに乗れるか
・知っている選手・自分とプレーの合う選手がいるか(溶け込みやすさ・コンビネーションやコミュニケーションの確立がしやすいか)
・監督・コーチの手腕がよいか(自分の志向と合致するか)
・ドクターやホペイロなど、肉体を維持するためのトレーナーが充実しているか
・都会かどうか(ご家族の要望・お子様の教育環境・選手ご本人の趣味などに関わる)
・選手本人やご家族の故郷かどうか
・やっているサッカーが楽しいか
(・育ったチームに移籍金を残せるか)

要するに、「現状順風満帆とはいえない中、年収が2倍になって快適な環境へ移って燻った今現在を変えられるチャンスがやってきた」と言い換えれば、少なくない方が揺らぐのではないでしょうか。名古屋にいらっしゃった選手も大抵はこのパターンのいずれかでしょう。そして、残念ながら出ていかれる時もいずれかでしょう。

風間氏が監督だから出ていったとはまったくもって断言できませんが、今回の相馬選手の一件については、ピッチ上を鑑みるに、
・得意なポジションでの起用が減っていた(WB・SBなど守備に忙殺されやすいポジションでの起用が増えていた)
・スタメンの起用頻度が落ちていた

せいぜい憶測できてもこの程度でしょう。むしろこれだけの情報で「風間氏の継続性が危ぶまれたから不安になって選手が出て行った。だから言ったのに。」と断言できるのは、眩しすぎて感嘆してしまいます。


本当に立派なユニフォームを着ていらっしゃいます。ぜひそのままスタジアムへ繰り出してみたらいかがでしょうか?
勿論同様に、風間氏が監督だから出て行ったとも断言できません。そこにあるのは、自分自身の活躍が見込めるポジションで試合に出ていなかったというピッチ上の事実だけですね。
よって、今回の相馬選手の移籍をもって、風間氏が相馬選手を移籍で出したあるいは、移籍を決定したとするのは邪推に他なりません。勿論相談とある程度の反対は認められているのでしょうが、ただ一人の意向をもって何でもできるはずはないでしょう。
ちょうど、聡明な方がおっしゃっていた「氏は全権監督ではない」という言葉も拝見しました。「全権」という言葉がこれまたどうとでも取れそうな広義の言葉ではありますが、おそらくクラブに関わるあらゆることに口出ししたり、決定権があるというような意味でしょう。移籍に関して氏は明確に何かを語っていませんし、できるとしてもこんな選手が欲しいというオーダーを強化部に出すくらいでしょう。所謂監督と呼ばれる職務の域を出ない話です。

まったくもってその通りだと思います。
そしてそれはクラブの他分野でも同じことが言えます。

集客についても同じですね。なぜなら風間氏はGMも兼ねたり、企画を練るような全権監督ではないからです。そして、若い選手が出るような交流を兼ねたトークショーなどにサプライズで積極的にご参加なさっているという目撃情報もありません。もしそんなサプライズがあれば、SNS全盛の今、ほっこりする素晴らしいエピソードが広まらないはずがありませんし、公式も何らかの形で発信するでしょう。ただそれは2年半ありませんでした。
当然です。なぜならそれは氏の仕事ではないですし、あくまで監督業があって次に「満員のスタジアムを実現するために可能な限り尽力いただきたい」という広報や営業の努力に協力すればよいからです。実際、上記のように言われて嫌な思いになる選手・監督はまずいらっしゃらないでしょう。これもトップの監督の職務の域を考慮すれば、まぁ一般的な監督のレベルから良くも悪くも逸脱はしていないでしょう。

ユースについても少し難しいですが同様です。ユースにはユースで古賀監督という素晴らしい指導者がいらっしゃいますし、有望な若武者が揃っております。これまた風間氏と古賀監督が密接に連絡を取ってサッカーの一貫性を調整していたり、トップの試合で頻繁に古賀監督が目撃されるか、練習をユースとトップで合同でやるとか、ユースの試合で頻繁に風間氏が目撃されるとかがあれば信憑性のありそうな話になります。ただ、これもそんなに話題になったことはないですし、実際に起こった話でもないので、やはり特別に風間氏の手腕がユースの今現在での成功に大きく寄与していると断言するのは難しそうです。
よって、氏の手腕が最も発揮されるフィールドを考えると、トップチームになるわけです。また、公式の場で自分たちの意図をベラベラ漏らす愚将もそうそういませんから、言動も絶対の信頼がおける証拠にはなりえません。
そうなると、ピッチ上で起きたことから何となく判断するしかないわけです。


実際、クラブと選手・監督は残念ながらいつか決別するものです。○○監督だから、○○選手がいるからといった個人のカリスマ性に依拠するやり方は、手っ取り早くクラブに関わってくださろうとする方々を増やすためには有効ですが、永続性はありませんし、クラブのスタイルを創るのであれば、むしろ特定の個人に強く依拠するのは悪手です。
クラブのスタイルが確立されたと思っていたら、そのスタイルの礎となる智慧は一人の選手(監督)しか持っておらず、誰も引き継げなかったというケースは既にJリーグでも起こりましたし、近い将来また起こると思います。
そうならないため、スタイル確立の基礎工事に相応しい方として風間氏を招聘したはずというお考えを拝見したのですが、実態と矛盾していないでしょうか?
特定個人に依拠しないスタイルを構築するために、監督という一個人に依存し、引き継ぎの難しい独自なスタイルへ邁進していたら、本末転倒ではないでしょうか。
したがって、継続することを念頭に置いているのであれば、難題とはいえ、ある監督やコーチと出会い契約した瞬間に「今の監督とどう別れ、どこまでを現政権で浸透させるか」というのは、フロントが考慮しておかなければならないことでしょう。決して容易ではありませんが、本気でプロジェクトを実現させるのであれば、第二・第三のプランがないほうがおかしいですね。
もし、「風間サッカーを実現すること」こそがクラブの目標であり本望であれば、今の進捗は妥当そのものでしょうし、今後も継続して何ら問題ないでしょう。しかしながら、そんな目標を掲げたとは一切聞いたことも目にしたこともありません。
また、スタイルを確立するを目標にして、成功するまで続ければそれはいつかはできるでしょう。できた時には新卒選手の評判もクラブイメージも資本による優位も失っているかもしれませんがね。時間は平等です。

今のまま続けて、スタイルはできるかもしれません。現時点で期間も決めず「スタイルはできない!!」と断言することは不可能です。続けていればいつかはそれっぽいものができるかもしれません。ないことを証明するのは悪魔の証明です。

 

それが本当にお望みのスタイルかと問われたら、私自身は"No"だと思います。

「技術だけに特化できている今は無限の可能性が広がっている!」という声もありますが、別にいうほど今現在技術に特化してもいません。本当に特化するのであれば、まず利き足なんて概念がなくなるほどに両足を扱えるようにして、止めて蹴って色々できる領域がとっくに増えているはずです。それが、どんなボールが自分の足元に来たとしても蹴るフェーズに移行するために必須だからです。止めて蹴る成功率を本当に上げるなら、誰からどこから来るかわからない来るボールの質を頼りにせず、自分自身で扱える領域を拡大するのが最も確実ですからね。利き足に持ち帰るワントラップなど不要の一言です。真剣に技術を磨き上げるなら難題とはいえ避けては通れません。
次に、その両足で様々なキックの質を磨き、グラウンダーからドライブ回転・ロブ・ロングパスなどの蹴り方をそれを実現できる筋力やボディバランスを叩きこまれ、いつ適切に技術を発揮するかも徹底的に練習で磨くはずです。本番で発揮できない技術など無意味です。これでも、ほんのわずかな技術でしかなく、ヘディング・守備時のバックステップ・セットプレーなど観測外の技術はまだまだ膨大です。
したがって、「技術」を極めるというのは、何かを言っているようでほとんど何も伝えられていません。頑張ると同じくらい無意味ですね。

 

理想と異なる形でまた成功体験を積み上げはしましたが、根本的に相手の対策を打ち破ったわけではなく、スタイルの積み上げに合致したベクトルに向かっているとは断言できない状況です。

とはいえ、今シーズンの最後どうなろうとも、ずっと先送りにされてきた答え合わせができる喜びに心が躍ります。