夏か補強か実力か
ここ2年と同じようなことを繰り返しているのであれば、ポジティブになれるのがこの8月です。そんな期待が7月末から渦巻いておりました。
今までと同じであれば、連勝街道を邁進する夏と考えることもできます。その一方で、今までほど大々的な補強はなく、決定的に今までのシーズンと異なる点です。
浦和さんとの昨日のゲームは、ここ二年の夏の強さの根本的な要因に迫る最初の試合でした。とはいえ、中三日の相手に対し、中二週間の十分な休養があって試合に臨めるわけですから、明確に有利な立場であったのは事実です。この一試合だけをもって、やっぱり夏になれば勝てる!と断言するのはいささか早計な気もします。
ところで、8月になって勝てること自体は喜べる話ではあるのですが、なぜ8月になると勝てるのでしょうか?今まで見てきた仮説では、
主語が自チーム
・8月になってようやくチームのコンディションがピークになる
・大々的な補強のおかげ
・ブラジル人選手が動きやすい時期が8月
主語が相手チーム
・8月になってコンディションのピークが過ぎる(真偽不明)
・暑さで陣形がコンパクトに維持できなくなる
・名古屋対策を90分完遂できなくなる
このあたりが語られていた気はします。あくまで仮説です。特定する術は今までありませんでしたからね。しかしそれも今年明らかになります。楽しみですね。
前置きが長くなりました。
浦和さんとの試合は結果的には手段がわからぬままロスタイムに再び叩き込まれ、痛い引き分けに終わりました。
別にボールを保持するだけがサッカーではありませんし、ボールが足元にあることは能動的に相手を動かしていることと同義ではありません。意図的にボールを相手に渡すことで相手の陣形を崩すやり方もありますし、相手の陣形を狙って崩していれば、能動的に相手を望まざる陣形へと動かしていることに変わりはありません。
形はどうであれ、自分たちが望む展開へ導くためにいかに相手を動かすかが根本にあり、その動かし方が統一できているのが「目が揃う」という状態だと私は解釈しています。
※相手を動かさなくても自分たちが完璧に止めて蹴れば勝てる!というご意見は試合で利用できるレベルで実現できてからお願いします。34試合のうち2分だけできても、せいぜいまぐれの域をでません。
しかしながら、リードしているときに、ピッチ上で目が未だに揃わないのは何故でしょうか?ボールを保持することを多分志向しているとは思いますし、ボールを保持するための技術を持った選手たちも揃っていますし、風間氏は技術指導のマエストロらしいですし、保持していればそのまま勝ちにつながるわけですから、身に付けた技術に基づくボール保持で試合を畳めばよいのにとは思うのですが、そうはなりませんでした。2週間休んでフレッシュなまま、技術を復習する時間もあったのに、2週間前と同じ轍を踏みました。
加えて、拍車をかけるのが相手チームの状況です。ガンバさんも浦和さんも決して今絶好調なチームではなく、勢いに乗るJ1最強チームを相手に90分間ギリギリの展開を強いられて最後に決壊してしまったという試合でもなかったでしょう。
試合で発揮できない技術・実用的でない技術は飾っておけばよいと思うのです。
こんな話、一年目に通り過ぎるべきところでしょう。
あるいは、時間管理・体力管理を含めたピッチ上の司令官がいたら今のやり方はよいのかもしれませんが、育てていないものは現れませんし、灼熱のピッチ上で激しく動けばその判断そのものがゆがむ危険性も十分あり得ます。
もしそれでエラーを起こした場合は、「選手のミス」になるのでしょうか。重篤なエラーが負荷のかかりやすいポジションから発生しているとは考えないのでしょうか。いい加減、失点で選手個人が悪かったことにするのを止めませんか?
本人でも翻訳者でもわかる方でよいので、掲げる理想をそろそろある程度言語化していただきたいところですね。
勝つことなのか、名古屋スタイルを作ることなのか、川崎さんのようになることなのか、ボールを90分間保持できるチームになることなのか、高速カウンターで刺せるチームになることなのか、満員のスタジアムを毎試合実現するのか、選手とサポーターの距離が近いクラブになるのか、ACLを獲るのか、若手を海外へ送りこむのか、どうしたいのでしょうか。
全部というのは回答にはなりません。どれも大事ですが、明確な優先順位がなければ実現可能性の低い誇大妄想にすぎません。全部やりますと言って全部やれる人はまずいません。今やれることがわかれば、「全部やるために今はこれをやる段階」と言えるからです。
今ぶち当たっているのはどういう壁で、それはどんな原因でぶち当たっていて、解決するには何が必要で、壁を破るのにはどのくらいかかって、壁を破った先で名古屋グランパスはどうなるのでしょうか?
別に選手が楽しければそれでよい、ファミリーで盛り上がればそれでよいというのも答えです。賛同を得られるかは知りません。
ユースで結果が出ているから良いというのも、今のトップの状況には当てはまりません。万が一哲学が同じだとしても、表現者もピッチも相手も何もかも違います。
今、3年連続で補強がないと勝ち星が遠くなるという、トップチームで発生している現象は、なぜ起こっているのでしょうか?
もし、今の名古屋が、足元を身に付けようとしない傲慢なGKと、高身長で足があまり速くない古き良きCBと縦への上下動が持ち味のSB、ボールを狩り獲るのが長所のボランチを後ろに据えているのであれば、まぁボール保持を選べるチームではないなと割り切って応援するしかないのです。そんなチームがボール保持に舵を切るのであれば今の状況も致し方ないのですが、そんな恵まれない状況からは程遠いです。
他クラブさんと比較すれば恵まれた陣容を有してなお、「技術」を身に付けたとされる状況でなお、ピッチ上でこうなっているのは、どうしてでしょうかね?