炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

過去を振り返り、ついに出た解任論

一年前の開幕戦ほどゴール前での運がなかった。そんな試合でしょうか。 

良く引き分けたというよりは、勝ち点2を逃がしたと両チームが感じるような痛み分けだったと思います。

 

もう一度今シーズンの明確な目標をきちんとおさらいしておきましょう。

ACL出場権の獲得ですね。

方針がぶれないことを評価し続けるのであれば、肝心の目標をぶれさせてしまうのはフェアではありません。それはファミリーであれ、サポーターであれ同義です。目標の軌道修正と言えば聞こえはよいですが、今シーズンが始まる前「目標を達成できる陣容は揃った」と明言されておりましたし、支持するならそこは譲ってはいけない防衛線でしょう。支持しないならご自由にという感じです。

一番やってはいけないのは、方針がぶれないことを評価して支持しつつ、「まぁ目標としてはACL掲げたけど前の年より順位上がってるし結果進歩してるからいい!」みたいないいとこどりですね。ブレブレもいいところです。支持するために目標を反故にするのでは、手段と目的が逆転しています。

よって、今年はどうあがいても目標の下方修正はあり得ません。

今シーズンを風間氏のまま走りぬいて、        何より結果が重要なこのシーズンの結果がどうで、   それは未来永劫続く名古屋のスタイルの実現にどのくらい寄与していて、継続性がどれくらいあるものなのかを  確かめなくてはなりません

ifルートなどいらないのです。

 

 

シーズンも半分経過して、「ボールが互いのゴール前を行き来するような忙しない展開になれば名古屋が強い」というのは、他クラブさんにも間違いなく知られています。そして、大抵は望む展開を招かないよう対策します。当然ですね。

とはいえ、前線の質と守護神の能力に自信があれば、こうした忙しない展開を苦としないクラブさんもあります。神戸さんとかガンバさんとかマリノスさんとかですね。

そして、ガンバさんがどんなプランで臨まれたのかは、高いディフェンスラインの裏を突く以外には今一つわかりかねましたが、とにかく名古屋お望みの展開となったわけです。そして双方の望み通り(?)殴り合い、痛み分けで終わりました。

相手の陣形が崩れた状態で水を得た魚のように躍動するのも、何なら去年の開幕戦からずっと武器にしてきた強みです。強みが褪せないのはよいことですが、この一試合をもって「今年も夏の連勝街道驀進!!」とは確信できないゲームでした。たとえ2-1のまま勝っていたとしてもです。

 

そして、対策されてからは相変わらず芳しい結果を得られていません。強みを発揮できる土俵に相手が乗ってくれない場合、ピッチ上での内容も伴わず停滞してしまっております。そうでなければ、シーズン前半戦に要所を締めて2-0で勝利した相手に、0-3でよいシーンなく敗北するということはあまり起こりません。

もっと平たく言ってしまえば、湘南さんにいいところなく敗北したシーズンは大抵よくありません。まぁ完敗している時点で好況ではなく、湘南さんに限った話ではないのですが、特に湘南さん相手だと顕著に出る気はします。スタイルの類似性も指摘されておりますし。

 

話を戻しますが、今シーズンに限らずぶち当たっているのが、「相手に対策された時」「自分たちの土俵で戦えないとき」どうするか?という問いです。

相手だって負けるのは嫌ですし、勝つために頑張ってくるのは当たり前です。

ここ二年、ガンバさんとの試合はお互い得意な土俵で戦った結果ゴール前の質で上回るかどうかという試合がほとんどです。そして今回も同様の展開になり、結果的には上回れませんでした。よって、実はこの試合に圧勝できていたとしても根本は解決しません。メンタル面ではプラスが間違いなく出ますがね。

 

今後を考慮すると、どうやって自分たちの土俵で戦うか、型を押し付けるかというのは目を背けられない問題です。そもそも自分たちの土俵も確立されているかは甚だ怪しいですが、相手に合わせるやり方を志向しているとは考えにくいです。

 

では、どうやって引きずり込めばよいでしょうか?手段なくして、ただ自分たちのサッカーが理想だ、できれば勝てるんだ、選手が頑張ればいいと言っていても始まりません。サポーターならそれで充分ですがね。あまり選手の頑張りに万能さを求めすぎてもホラーですがね。

 

ちょうど「中長期で強い基盤を作る」という名古屋の方針が再認されたところなので、中長期で強い基盤を作るために今手段として何をしていて、どのくらい実っているか確認してみましょうか。道が長いからこそ、ただ受動的に待つのではなく、遭難していないかを確認できる「目に見えるもの」は重要です。ただただ信じるのは一見難しいようで簡単です。目に見える課題から目をそらしてロマンを妄想すれば信じ続けられます。

 

まず、何をするにも最も重要な要因になるのが「時間」です。

DAZNが襲来したことで、明らかに日本の移籍事情は変わりましたし、この数年で変革に乗り遅れるクラブは数十年分の差を付けられかねない苛烈な環境になっていると考えます。

 

時間が必要という声は就任当初からありますが、ではどのくらいの時間が妥当でしょうか?300年くらい待てばよいでしょうか。せめて生きているうちにもう一度優勝が見たいのですが。

一つの基準は前任の川崎さんでの5年間ですね。ただ、通る道が違うとはいえ、前任で5年間かかった仕事を今回も同じ期間かかっていては、それは間違いなく停滞です。特に、数か月から半年でチームに骨格を据えられる監督がJリーグにもいらっしゃることが明らかになりつつある中、いかにも5年は長いです。

5年あれば、23歳の大卒選手は28歳です。脂ののった28歳の選手に求めるのは、チームの主軸として勝利に直結するプレーでしょうから、5年経って継続して試合に出場している選手個人の能力が高まるのはある意味当たり前です。

それでも5年賭ける価値があると考えるのならば、なおさらリターンを明確にしておく必要があります。「投資」とか「育成」とか評価しようのない曖昧模糊なリターンでは論外です。「スペイン一部でレギュラーを獲れる選手を5年間で一人輩出する」とか、「ホームグロウン選手を3人以上スタメンで遜色なく起用できる体制を作る」とか、 目指す道を進むうえでおそらく現れるであろう結果を殊更はっきりさせておかねばなりません。

道は長い(ただしいつまでかかるかは明示されないし途中の進捗もわからないが投資は潤沢に必要)だけでは説明がつかないことがあるのです。

5年だとしてもそれ以下だとしても、もう折り返し地点は通過しています。

種はもはや蒔き終え、実りの時期を待つだけでしょうか。待ち遠しいですね。まだ種も蒔き終わっていないとさすがに進捗管理がお粗末ですが、まさかまさかそんな稚拙なことは決してあり得ないでしょう。

 

ここまでの文で、楽な道を行こうぜと言いたいわけはありません。

スタイルを作るなんてどうでもいいとも一言も言っていません。

 

次に、スタイルを作るうえで、今がどの段階にいるかという「進捗」です。今現在は基礎工事の時間でしょうか。それほど、勝利・結果が第一のフェーズでしょうか。

私自身はどちらとも取れないモラトリアムのような時間を貴重な時期に過ごしてしまっているという認識です。というのも、

 

・基礎工事の時期→2年半かけているが、それらしき基礎がない。積み上げをきちんと言語化している方がいらっしゃらない。選手が入れ替わりすぎて基礎が作れていない。基礎工事に5年間かかるのはさすがに長すぎてプロジェクトとして異様。

 

・収穫・結果を出す時期→結果が出ていない。勝ちパターンが増加せず、負けパターンに進歩がない。シュートだけが入らないという試合が不運に続いているだけでも、負傷者が続出しているわけでもない。

 

一言で言えば、不運や偶然で片づけるのは少々都合がよすぎるだろうということです。

基礎なら選手がコロコロ変わって2年半たっていて、それらしい継続性もピッチ上にないのは何故なのかという話ですし、収穫なら去年と似たルートを能力のより高い選手で繰り返していて、いよいよ借金背負い始めて停滞どころか衰退していないか何故なのかという話です。

 

別に今は我慢の時期でもよいんですよ。梅雨の時期だから耐えるでもよいんですよ。 私自身我慢を否定したことはありません。ただ、その我慢は

・何に対する我慢ですか?

・どういう因果関係によって発生していますか?

・いつ頃にどういった解決策がとられますか?具体的な片鱗は誰のどんなプレーとして練習や試合に現れていますか?

・それは中長期的な名古屋のスタイル確立のために避けては通れませんか?

 

特に、何に対する我慢なのかが正直よくわからないのです。勝てないことに対する我慢なのか、スタイルが確立できないことによる我慢なのか、選手が育たないことによる我慢なのか、何となくうまくいかない現状を愚痴にしたふわっとした我慢なのか、現状を何らかの理由でとにかく変えたくないことによる我慢なのかがわかりかねます。

もしもの話にはなりますが、昨日のガンバさんとの試合に2-1のまま勝って、これで「名古屋のスタイルは確立できてる!進化してる!今年の夏も連勝だ!」と言われても疑問符しかわかないわけです。勿論勝利が格別の味なのは大前提ですがね。

今スタイルの構築にあたってぶち当たっているのは「自分たちの土俵に相手を乗せられないこと」なのに、相手が自分から得意な土俵に乗ってきて勝って、今のやり方が正しいと是認できるのはいささか奇妙です。殴り合えば強いことは既知の話です。

 

そして、停滞の解決はいつも選手を入れ替えることで行ってきました。自分たちの土俵に乗せるために自分たちが物理的に変わっているだけなので、変化はしていますが継続性があるかといわれると難しいところです。

 

ガンバさんとの試合をもって藤井選手に期待が集まるのはもっともですし、有望で素晴らしい選手であることに疑いは一切ありません。しかし、この流れさえも既に何度もやっているんですよ。

 

2年前、彗星のごとく現れた秋山選手を中0日で出場させて、「若手が抜擢されている!」「魔改造最高!」「秋山なしとかあり得ない」みたいな勢いが一時期溢れました。

いや秋山選手がキュートで逞しくて頼もしくてワンダフルなのは全面的に同意ですが、今彼が不動の左SBとして君臨したり、あの経験をもとに今現在左利き司令塔としてチームのスタイルを体現しているかと問われると、全面的にYesとは言い難いわけです。

1年半前、ポジションは違いますが似たようなことを新井選手でやりました。

1年前、ポジションは違いますが似たようなことを相馬選手でやりました。前田選手でも同様に、相馬選手ほどではありませんがやりましたね。

 

J1開幕スタメンを飄々とこなした菅原選手にしても、武骨な古き良きCBから今なお進化を続ける櫛引選手にしても、30代で成長を求め全力で適応しようとした佐藤選手にしても、足元の技術をつけるという新境地へあくなき挑戦をした我らが守護神にしても、その他数多くの名古屋にいらっしゃった選手にしても、選手ごと様々な事情はあれ、昨日のピッチ上にはほとんど、成長を求めて名古屋の門をくぐり、見事に成長して在籍前の実力を逆転させた選手たちはいらっしゃらなかったわけです。健全な競争だからですか?むしろ名古屋に来るまでの実績であらかた決まってしまっている気がします。

 

そうなると、いくら藤井選手が有望で眩い煌めきを放つ巨才でも、また同じように周りが一過性のロマンを求める尻軽ムーブをして、過度に負荷のかかるタスク過多に陥りふわっと終わってしまう危険性はあります。継続してユースの若人を追いかけていらっしゃる方々はそんなことは決してなさいませんが、そうでない方々も少なからずいらっしゃることでしょう。今後数試合で尻拭いの形で発生したミスから、「やっぱりまだ目が揃っていなかったんだ…」と言われこれまた継続性なく終わってしまう危惧があります。

 

継続性継続性といわれますが、今のピッチ上のどの要素にどんな継続性があるのでしょうか?そして、それは継続するに足る名古屋のスタイルに不可欠な継続性ですか?

 

長期的な視点をもって基盤を作ることは全面的に支持します。

 

ただ、数十億という明らかにJリーグで勝ちにいく投資をして、このやり方とこの進捗でいいのか?その程度の本気度なのか?という疑念にだけ確固たる継続性があります。そんな嬉しくもありがたくもない継続性のために今のやり方を貫いているわけがありません。選手の頑張りを無駄にして頂きたくないんですよ。不必要に東奔西走させられたり、闇雲に走らされている姿を見て、頑張ってるから愛おしいとは思えないんですよ。

 

そうして頑張りすぎた挙句負荷がかかりすぎて、半ば悲鳴を上げるような形で表出したミスをもって、「○○選手が悪い」とか「○○選手の目が揃ってない」とするのはあまりにもフェアでないでしょう。気が利いて、誰もやらないが必要な仕事に目が向くからこそタスク過多に陥り、疲弊し、疲弊がミスを誘発してしまうのです。場合によっては怪我にもつながります。危険に対する反応も疲弊していれば遅れるでしょう。完全な偶然ですが、負荷の高い要のポジションの選手が負傷により離脱しているのももしかしたら無関係ではないかもしれません。

 

よく敗因として挙げられるのが「ミスを犯してしまった」ですが、そもそもなぜミスは起こるのでしょうか?うまくなればミスは本当にゼロになるのでしょうか?


34試合ありますから、まぁ1~2試合は「○○選手頼むぜ~何やってんだよ~」とぼやきたくなるようなミスが起こってもおかしくないでしょう。選手も人間ですし、夏の灼熱と多湿に包まれたピッチは精密機械さえおかしくなりかねない環境です。


そんな環境ですと、そもそもミスの起こりやすいことを誘発する事象自体を減らすことも考慮する必要があります。しかし、それは今考慮されていないんでしょう。ミスはあくまで選手自身の能力不足であり、一人一人がうまくなることによってのみ解脱できる業のようなものなのでしょう。うまくなるって何なのでしょうね。)クスリみたいだ

その結果、ディフェンダー陣が時間を作ってアタッカー陣に生きたボールを届けられず、アタッカー陣は個人の才覚と即興で時間を作り相手を躱してチャンスを作りゴールを決めるという膨大なタスクを求められています。ところが、そのアタッカー陣は個人の才覚と即興に依拠した守備から危険なスペースを空け、その尻拭いという膨大なタスクをこれまたディフェンダー陣がしています。中盤はどちらの要求にも応えるために奔走するほかありません。そもそも健全な状況だと思えないのですがどうなのでしょう。この状況って相手以外誰が得するのでしょうか。こうしたタスクの整理も試合中に選手たちが自分で考えてコミュニケーションしながら是正するべきでしょうか。

また難解なタスクが一つ増えましたね。

 

さすがに三年連続で停滞期が継続して訪れたことで、監督解任の話も出てきました。思ったより早く出てきましたね。

ただ、後任監督の名前を見て、はっきり言って落胆しました。名古屋の確固たるスタイルを作るという壮大なプロジェクトに対して、明らかに手すきで日本での指揮経験のある外国人監督をそれっぽく公表したような練度のなさには辟易とします。

せいぜいそのくらいの本気度なのねという落胆が大きいです。

 今風間氏を解任しても得られるものはあまりに乏しいですが、選択肢としてあるという現実だけは重く受け止める必要があります。

今でも、風間氏の中での試行錯誤は見られますが、氏や一部ファミリーが選手に求めるような抜本的な進化を、まだほかでもない氏が為していません。ペースメーカーとして目を揃える先頭集団を走り続けてきた氏が、いよいよチームの進化に置いて行かれ始める順番が来たのではないでしょうか。

 

そうなれば回答は一つですね。

 

氏も例外ではなく、進化し続ければよいのです。小手先の3バックとか今までの自分の引き出しを超え、名古屋で思い残すことなく仕事を完遂してくださればよいのです。それを観ずに終わるなんてなんてもったいないことでしょう。氏が巷に囁かれる名将なら、間違いなくこの停滞を乗り越える進化を見せてくださるはずです。その果てに、 名古屋でシャーレを掲げる姿を観られたら最高ですね。

まさか氏を支持しておいて「進化すればよいのは選手と解任派だけだ、練習や試合を見れば風間さんの偉大さはわかる」なーんておっしゃるはずありませんよね?

 

                                    了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今年はもうつべこべ言える状況にない。来年になって選手が揃えば風間さんの真価がわかる」と2年前も1年前も言われていたのですが、未だに真価が継続してわかるときが訪れません。どうすればわかるようになるでしょうか。あと2年待てばよいでしょうか。待てば待つほど期待値と果たされるべきリターンは大きくなります。

何もかもが博打に思えます。継続性・再現性とは対極にある、コンセプトに合致しない賭けです。ただ楽しみたいなら賭けを楽しむのもわかるのですが、だとすればスタイルへの拘泥が謎です。