炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

今年も廻った因果

とにかくほっとしました。

一夜明けてようやく残留が確定したことを再認させられます。

 

何もかもが2016年の降格を思い起こさせる舞台が揃っておりました。

そして、前半は全てをコピーしたかのような展開でした。

風間氏のコメントを引用すれば、「いつも通り戦う」との言葉通り、選手個人が頑張っていました。コメント通りの試合をしていたと思います。

 

そこからの筋書きが違っていました。名古屋が他力にすがるしかない状況であったことに変わりはありませんでしたが、他力にすがる権利を得たのもジョー選手の眩い煌めきと、後半早々の湘南さんの立て続けのシュートミスがあってこそです。最後の劇的な終演は名古屋以上に因果を溜めて自滅した某監督のおかげでしかありません。報いを受けるべき立場は、名古屋以上にふさわしい演者がいたわけです。

自分たちができることをしたからこそ転がり込んだ運といえる一方で、他力本願に陥った反省はなされる必要があるでしょう。

 

それでも、とにかく頑張り続けてくださった選手の皆様・今年一年営業を広げ観客増員や広報などを務めあげてくださった営業の方をはじめとするスタッフの皆様・チームに合う選手を説得し、数多くの頼れる選手たちを連れてきてくださった強化部の皆様には感謝しかありません。何よりもJ1に残ることが重要でした。

 

J1リーグのみの公式戦で34戦ありますから、よい時、うまくいかないとき、運よく何とかなるとき、運悪く勢いを失うとき、色々あることでしょう。時には他力に頼りたいときもあります。

しかしながら、今日にしても、今までにしても、相手の対策込みで自分たち主導で狙い通りに試合を進められたことは何度あったでしょうか。むろん容易なことではありませんし、たった数試合の積み重ねで90分間完璧にできることはあり得ません。

だとしても、徐々に片鱗が見えたり、選手同士の意思が統一される場面が増えたり、順調に進歩しているのであれば見えてしかるべき場面はあるはずです。それが能動的にできる場面が少しずつ増えれば、間違いなく進歩といえるでしょう。そうした時間が90分の内数分からだんだん増えていき、様々な相手に対して駆け引きできるようになるのが進化であり指導者の志向の深化ともいえます。

あるいは、関われる役者が増えてきても進歩といえそうです。ある選手しかできなかったことが別の選手にもできるようになったとか、競争が激化し、助っ人外国人を温存したり切り札として交代起用できるようになったとか、ユースからの期待の生え抜きが試合に少しずつ絡めるようになったとかがあれば、それはそれで育成の成功といえそうです。勿論降格しないことが前提にはありますが…。

 

そんな垂涎ものの甘美な場面が披露されたのは、

・相手が情報不測の時(そもそも対策できなかった時)→連勝

・相手が虚無の時(そもそも対策されなかった時)→柏さん・セレッソさんなど

・先制されたりしてなりふり構えなくなった時→後半に負けているとき

・相手が疲れて守りに入って積極的には奪いに来なくなった時

のいずれかで、能動的に披露された場面は一度きり見られなかったと思います。

全試合5-0で勝つと就任時に宣言しておりましたが、2シーズン経過してそれは一度でも達成されたでしょうか。小倉監督期には福岡さん相手に達成してましたね。

 

主導権を握る必要のあるサッカーで、今シーズンの最後まで相手の変化によって受動的にしかギアを上げられなかったことは、個人的には結構不安要素として来期以降にも残ります。狙いをもって90分勝負で相手を振り回していれば能動的ともいえそうですが、相手を振り回そうとして自陣でとったリスクの収支はここ2シーズンに限ればマイナスだったと思います。

来年はきっと風間サッカーが浸透してJ1で旋風を起こす?

それは去年既に聞いた気がします。「必ず成功する雨ごい」と同じですね。  

 

今日にしても、負けられなかったプレーオフにしても、判定にこれで3度助けられた形になります。プレーオフ千葉戦の一点目・プレーオフ決勝福岡戦のウェリントン選手の幻のヘディング・そして今日のジョー選手の一点目のPKと、他チームを応援される方には有利と思われても仕方ないくらいきわどいものによって、紙一重でJ1に残りました。 間違いなく運には恵まれています。 

 

来季の体制がどういった形になるのかはわかりませんが、風間氏を信奉するイエスマンしかいない状況になるのは色々な意味で避けていただきたいところです。

 

気持ちのみに頼ったり、一つのサッカーに染まるだけではJ1で勝つのは難しくなってきました。風間氏がどうという話ではなく、誰が監督であってもそれは例外ではないだけにすぎません。特に、今期は降格がちらつく王道の原因は名古屋に限ればほとんどありませんでした。

例えば長崎さんであれば、多くの昇格チームが経験する堅守が通用しなくなる問題と、得点力の不足というある種王道のパターンに健闘しつつも最後まで嵌まってしまったと感じました。柏さんはACL過密日程によるコンディション低下と正GKの長期離脱、不振の時期に無思慮の監督解任をするという降格のモデルケースのような不幸が重なったパターンですし、結果的にプレーオフ行きとなった磐田さんも主力助っ人が軒並み長期離脱し、前年度の好調を支えたセットプレーも不発なわりに監督の上積みが乏しかったということでしょう。

一方、名古屋は終わってみれば誤算らしい誤算はホーシャ選手の長期離脱と宮原選手の負傷くらいでしょう。ホーシャ選手のコンディション問題は獲得時にも懸念されていた話ですが、セットプレーから大事な得点を決めるなど貢献に乏しかったとは思えません。まだ名古屋のユニフォームに袖を通してほしい選手です。宮原選手の件については怒りもわきますがシーズン中に誰も負傷させられることなく終わることのほうが珍しいと思います。腹立たしい話ですがこれも残念ながらサッカーの一部です。

 

ジョー選手は堂々の得点王として価値を示しましたし、ランゲラック選手なしでは間違いなく降格していました。シャビエル選手は個人的に10ゴール10アシスト位期待していたので少し残念でしたが、相当の重圧を背負いながら万全ではないコンディションで戦い続けてくださったことには本当に言葉がありません。失敗すると降格がちらつきやすい「助っ人外国人」において今季失敗があったとはとてもとても言えないでしょう。

かといって、ACLを兼ねていた過密日程でもなく、監督が新米で戦術の浸透が遅くなったわけでもありません。主力が軒並み負傷する不幸にも直面していません。降格した2016年のように明らかに守備陣が質量ともに不足しているわけでもありませんでした。(ちなみに今季補強に出遅れたのは自動昇格できなかったから) 現実的な予想をしていた方はいらっしゃっても、目に見えて不安を主張していた方はほとんどいらっしゃらなかった覚えがあります。事実私もランゲラック選手で何とかなると思っていた時期がありました。

 

今季低迷してしまったのは仕方ないといえる要因はほとんどない気はしますが、そこは詳細に検証されてしかるべきでしょう。もしかしたら重大な要因があったのかもしれません。

また、若手のブレイクについても、役者が前半戦と後半戦で変わってしまった以上、昨季をなぞったかのような成果しか得られませんでした。昨季後半からブレイクした青木選手の枠が今季は前田選手であり、シーズン通しての活躍となると未知数なままです。昨年度からずっと薄かったボランチの層は今期も薄いままです。開幕からスタメンで起用された菅原選手は大型補強後出番はなく、飛躍のシーズンにはなりませんでした。

これを「昇格組だからしょうがない」と割り切るのか、「昇格組と呼ぶにはアンフェアな陣容だった」とするのかは見る方によって変わるでしょう。

 

選手はこれ以上ないくらい毎試合頑張ってくださっていました。ただ、規律に守られず闇雲に走り疲弊しピッチに倒れる選手たちを見て、「頑張ってた」の一言ではとても済ませられません。済ませたくもありません。

頑張りの先に何があるのでしょうか。ほかのクラブだって頑張らないわけがありません。自クラブだけとてつもなく頑張っていると根拠もなく言うのは傲慢です。

だからこそ、今回の薄氷の残留を教訓に来季への準備を進めてほしいと心から願います。準備をするのはクラブだけではありませんがね。 

 

一方で、他の方がおっしゃっていた通り、今回の残留が単なる美談として飾られてしまうのが最も恐ろしいですね。確かに、美談にしたいような形容しがたい雰囲気ではありましたが、それは優勝した時の土産話に仕舞っておきたいところです。