炭火生存日記

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名古屋グランパスの未来を分ける試合再び

 昇格プレーオフから一年どころか半年たたずに、再び未来を決める試合が目の前に迫ってきました。

正直なところ捨て試合などなく、一試合一試合が未来へ繋がる重要な試合であることは確かですが、どうしても ターニングポイントというものは生じます。15連戦の締めくくりをどう終えるか、勝って終えるかで残留できるかは相当に変化します。

昇格プレーオフ並みに勝ちに行くべき試合だと断言できます。

 

週半ばのルヴァンカップで大勝を収め、最悪の雰囲気のまま柏さんとの試合に臨むことは避けられました。それ自体は間違いなくよいことであり、勝ちにより得られる自信は確実にあることでしょう。

ここまで沈黙を続けてきた攻撃陣が嘘のように4点を取り、児玉選手・深堀選手ら若い力が躍動したうえで反省点も見つかるという珠玉の出来でした。今シーズンのベストゲームと考える方もいらっしゃることでしょう。メンバーが変更されてもセットプレーが脅威となり結果が出たことは事実であり、素晴らしいの一言です。攻撃から守備へ切り替わる際の切り替えの早さ・チームとしての奪いどころの共有といったところも光明が見えるものでした。あれだけ迷いがなければチームとして強いのは道理です。

 

ただ、懸念となるのは、リーグ戦においてはいまだに何も勝ち取っていないことです。

ルヴァンで広島戦に勝利し、リーグの首位チームに勝利し、それで名古屋は何を得たでしょうか?そこで何かを得たのであれば、今頃内容も結果も伴わないような最下位に甘んじることはあり得ません。

 

また、その懸念を後押しするのがルヴァンでの快勝です。

実はこの試合でさえも能動的に相手を崩したわけではありません。

相手は奇しくも開幕戦と同様にガンバ大阪さんであり、極めて残酷な言い方をすれば「名古屋の勘違いを結果的に増長させたチーム」です。得点の内訳もセットプレーから3点、カウンターから1点(あと相手のミスから決定機2回ほど)であり、ボールを保持して能動的に崩すことを理想とするのであれば、まだまだ理想への道は果てしない状況です。理想に拘泥するには、まだ勝ち点も型も不足しているのが現状だと思います。

ただその一方で、最前線からの守備がはまったことで「ミスをさせた」ことによりセットプレーを量産できました。ボールは保持していませんが、能動的に相手を崩す形としては秩序あるプレッシングも解の一つとして妥当だと思います。そして、それはボールを保持する姿勢と一切矛盾しないものです。

よって、ルヴァンでの大勝で、「能動的な崩しは実現できたか?」という問いは、かなり解釈が分かれる考えどころになると思います。

 

加えて、次の相手が柏さんであることがその悩みに拍車をかけます。下平監督は結果的には解任となったものの、チームとしてのビルドアップの整備ができる監督であり、中山選手や手塚選手など個人でプレスを無効化できる選手もいらっしゃいます。となると、ルヴァン戦と同レベルの守備であっても後手に回ることも十分にあり得ます。また、選手の疲労も加味しなければなりません。たとえ全く同じメンバーを起用できたとしても、柏さん相手に再現できると見積もるのは個人的には甘い気がします。

その一方で、高さにはわかりやすい弱点を抱えており、ジョー選手に上質なクロスを送り込むことに意思統一できれば優位な試合展開になりそうなのも確かです。その分、最前線からの守備は期待できなくなりますから、チーム全体を押し下げられ、いつものリーグ戦の光景が広がる可能性もあります。

 

つまるところ、

ルヴァンでの選手たちのプレイに再現性はあるのか?

という疑問に個人的にはたどり着きます。

 

たまたまプランが嵌まったことによる偶然なのか?戦う前の準備ですでに勝っていた必然なのか?あるいは相手の自滅の恩恵を受けたのか? 様々な憶測が浮かびます。

 

希望を抱くのであれば奪いどころをついに決めたと思いたいですが、そうであれば監督やコーチが授けられるか・選手たちが自主的に決めたということになります。前者ならなぜ今まで放置したのかという疑問はぬぐえませんし、何よりBrazilian Storm にプランを徹底できればこれ以上厄介なチームはJリーグを見てもそうそうないはずです。後者なら風間氏を高額な契約金で雇用する理由がありません。守備は最低限構築できて攻撃はアイデア任せの量産型監督で十分です。今はどちらに近い状況なのでしょう。

 

本当ならば大量の情報をもとに判断したいところなのですが、すでに半分以上のチームに敗北してしまったせいで残念なことに1試合のみ、しかも相手は比較的守備が緩いと思われるルヴァンのガンバ大阪さんを相手にした特異なサンプルをもとに、柏さんとの大一番に臨まなくてはなりません。17チーム中9チームに負けているというのは本当に重いことです。

正直素人の私には再現性があるのかどうかはわかりません。監督なのか、コーチなのか、特定の選手に依存するものなのか、名古屋の11人が揃って実現したものなのか、あの22人が揃って実現したものなのかはわかりません。よって何を得るかよりも、何を捨てるかのほうが重要な試合になると思います。

個人的には、勝たなければならない状況で風間氏が何を捨てたのかが見える試合になると思います。そこで捨てたものによっては、代替監督のことを考えるまでもなく、解任へ踏み出すこともやむなしとなることでしょう。継続性以前の問題です。またJ2でやり直せばいいと思っているサポーターはさすがにいないでしょう。降格だけはなんとしても避けないといけません。

楢崎選手・玉田選手といったクラブのレジェンドを叩き落とし、名古屋のことを真に考えてくれている和泉選手をはじめとした若い選手に十字架を背負わせ、ゴールマウスを懸命に守るランゲラック選手の実績に泥を塗り、長谷川選手を「降格請負人」となじった無礼な他サポーターを見返すこともできず、Brazilian Stormの一試合ごとの執念を水泡に帰すような結末を迎えるなんてことはもうごめんです。今度こそ帰ってこれる保証はどこにもありません。

 

最後になりますが、私は現時点では風間氏を信任できません。

守破離」という言葉にあるように、物事を習得するうえでは型を模倣して順守することでまず身に着ける段階、習得したうえで自分自身のアレンジを加える段階、最後に型から離れ、真の意味で自分自身の形を持つ段階が考えられます。風間氏には守破離の離しかないという印象が今なお拭えません (※酸いも甘いも噛み締めたベテラン選手がプレーの幅を広げるにはよい指導者だと思います) ので、なおも「守」を授けられず選手のせいにして敗北を繰り返すのならば、そんな成長のない監督は勝つ執念に満ちた選手には相応しくありません。たとえ替えて悪化するとしても、勝たなければならない状況を自分で作っておいて、準備を尽くさぬまま理想に殉じる監督に任せるよりはましです。ここは個人差のある部分だと思います。それでもついていく人間も一定数いることでしょう。もし守破離を整え、自分の非を時に認め、相手をリスペクトして準備を進め、「観測外の技術」を見直してもなおも降格してしまったのであれば、私も間違いなくついていきます

 

もし柏さんとの試合を通して何らかのポジティブな変化がなければ、中断しても決して変わることはあり得ません。変わったとしても、他チームの成長度を上回ることは決してないでしょう。だからといって、「負けはしたけど内容はよかった」という言葉はもはや寝言になりかねない段階です。

 

J1でスタイルを手に入れるか、J2で燻る古豪となるか、J2でも古豪にさえなれないのか、その岐路はもう目前に広がっています。

 

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