炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

降格してから一年が経ったことへの雑感 (名古屋グランパスについて)

 

こんにちは。火力不足です。

 

本日文化の日は、2016年に名古屋グランパスが初めてJ2に降格した日です。

ちょうど一年前のこの日、試合が始まる前の選手に笑顔は見られましたが、プレイ自体は驚くほど固く、ぎこちなく、素人から見ても緊張しているのが見て取れました。そして、臆病ともいえてしまうような姿勢のうちに、なんてことのない山田直輝選手のミドルシュートが簡単にゴールに入り、降格が足音を立てて目の前に現れたのは今でも覚えています。

前半のうちに2失点し、後半は攻めるしかありませんでした。シモヴィッチ選手がPKを沈めた瞬間とその後5分くらいは夢と希望に満ちた時間帯でしたが、闘莉王選手が山田直輝選手に弾き飛ばされ、絶望の3点目を入れられたところで、J2降格は残念ながら決まったようなものでした。

 

そうして確定した降格ののち、監督は代わり、選手は半分以上代わりました。あまりの変わりように、本当に応援してきたチームなのかという思いと、J2から金輪際上がれないのではないかという不安が入り乱れるような感覚に襲われました。そして、フロントが内輪もめともいえるような権力争いに没頭していたこと、降格そのものへの不満、若手の墓場となっていた不満、風間氏が監督となったなどの様々な要因が重なり、クラブへの期待や昇格への期待は大きく薄れ、自分自身の認識としては一サポーターではなくなりました。勿論、そんな一個人の事情など当然無関係に、シーズンは始まりました。

それでも、ずっと応援してきたクラブですから、試合結果は気になりました。当初の感覚としては、連携はともかく選手層だけ見れば昇格できない方がおかしいと考えていましたね。極めて理不尽に「個の質」で殴ることで、無慈悲に勝ち点は拾えると思っていました。よほど無能な監督がやるならともかく、普通にやれば上位は堅いと思っていました。お世辞抜きに、それだけ攻撃陣は群を抜いていましたし(今も)守備陣もJ2上位から中位くらいの実力はあったと思います。

しかし、さすがに下位には沈まなかったものの、理想と心中しかねない戦いぶりでした。ボランチの模索に前半戦を費やし、イージーな守備のミスから不要な失点を繰り返し、中央突破に固執し続け、諦めてスクランブルにすると簡単にネットを揺らしたりするなど、言ってしまえば風間サッカーに固執する理由が一切感じられませんでした。勿論積み上げとしてはあったでしょうが、それは目の前で起こる簡単な連係ミスや、守備のほころび、それに伴う勝ち点の欠落を後回しにしてまでやることなのかという疑念は拭えませんでした。実際今もそれは私的には拭えていません。

そんな悶々とした前半戦に拍車をかけたのが、「極端なサッカー」への適応が難しかった選手たちの移籍でした。昨年一緒に降格してくれた選手のみならず、磯村選手や矢田選手といった生え抜きといえる選手たちが移籍したことで、引き返せなくなりました。そういった選手たちと別れを告げてまで、今のサッカーを突き詰める価値はあるのかが、ピッチ上では証明されていませんでした。はっきり言って、後半戦の頭で徳島に完敗したあたりでは、サポーターも疑念に満ちていたと思います。

そういった曇りを完全に吹き飛ばしたのが、加入した選手たちの煌めきでした。新井選手は広大なエリアを一人でカバーする地獄のワンバックを完遂し、個人でできる範囲で守備を高めてくれました。結果過重な負担がかかってシーズンアウトの怪我をしてしまいましたが、赤いユニフォームでまだまだ見たいプレイヤーです。イム選手も、守備の人間でありながら積極的に攻撃に絡み、時にはゴールも奪う姿勢は魅力的です。アジア枠と考えるとケネディ選手と比較してしまうので難しいですが、期待が持てる選手です。大学生の秋山選手も中0日という頭のおかしい起用に応え、結果を出しました。そして、ガブリエルシャビエル選手はコメント不要ですね。反則の一言ですべてを表せるのではないでしょうか。彼への警戒が他選手の躍動を呼び、ボランチの田口選手・小林選手のタスクを軽減し、相手チームの混乱と崩壊を呼び込みました。彼なしでは昇格戦線の生き残りはあり得なかったでしょう。

しかしながら、新加入した彼らも様々な事情でスタメンを外れ、今は原点回帰し当初のメンバーで最後の審判まで戦い抜こうとしている場面です。

 

正直、絶望を感じた一年前から、ここまで好転するとは思っていませんでした。まだ何も成し遂げてはいませんが、前途は希望に満ちています。

その立役者として、強化部をはじめとしたクラブ全体のスタッフ様は本当にいい仕事をしたと思っております。強化部は選手を集め、見極め、現状に合う選手を夏に探して契約してくれました。(実際シャビエル選手を連れてきたことだけで手放しで称賛されてもいいと思う) クラブとしても昨年の「愛されたいクラブ宣言」を成し遂げるように、SNSの強化や動画の利用、ビギナー観戦者向けのサイト準備など、本当に色々観戦する側にとってありがたい措置を広げてくださっているように思います。J2となっても観戦人数は大きく減少せず、J2内の動員人数最多を総なめしているのも、クラブのたゆまぬ努力あってこそだと思います。

そして、集まってくださった選手たちにも感謝しかありません。現状ほぼ一年通してみて、別れた方がお互いのためだと感じたり、不平を言いたくなるプレーが幾度となく飛び出した選手も正直いらっしゃいますが、だとしても一年間名古屋グランパスというクラブを選び、プレーしてくださったことに改めて感謝申し上げます。

そして、監督です。火中の栗を拾いに来てくださったことに感謝申し上げます。ならびに、若手を積極的に抜擢し、開花させたことは非常に指導者として素晴らしい手腕だと思います。しかし、川崎から名古屋へ活躍の場を移したことでの、何らかのアップデートや修正が未だに見られていないことは甚だ疑問に思います。はまった瞬間の魅力はある程度わかりました。それは川崎でも披露していましたし、蓄積すれば名古屋でも見られることに大きな驚きはありません。

ただ、金沢に敗北した際のコメントに関する回答をまだ頂いておりません。「相手がボールを持つこともある。そういった場面の対応についても考えなければならない (意訳) 」と。それでもボールを持ち続ければいいと今までは語り続けてきたように思っております。そういったうまくいかない場面という新たな部分と、ご自身の理想との折衷ならびに融合を選手に形にして落とし込むことなくして、選手だけに成長を望む姿は見たくありません。少なくとも現状は、守備面については監督としての進化を目の当たりにしておりません。

また、攻撃面に関しても、披露されないときのリスクヘッジは、理想と両立するように思います。実際私の攻撃陣への認識は、紆余曲折あって一年経った今でも変わっていません。何だかんだ窮地のチームを救ってきたのは相手にとっては理不尽すぎる個の力でした。風間サッカーの生命線といえる連携で崩し、ペナルティエリア角を制圧する場面、バイタルエリアに侵入してしとめる場面もなかったとは言いませんが、理想の攻撃よりなりふり構わぬスクランブルの方が勝ち点には結びついていた印象があります。あとはシャビエル選手の煌めきですね(セットプレーを含む)。位置・配置で優位に立ったり、連動したプレッシングで相手を追い込むことは、止めて蹴ることとは本当に両立しないのでしょうか。

何よりも「頂に届かなかった川崎で、足りないと気づいたこと」の還元を期待したいのです。

 

金沢vs名古屋の監督コメント(明治安田生命J2リーグ:2017年9月17日):Jリーグ.jp

 

 

あと3戦、泣いても笑っても3週間後には順位争いは決着します。自動昇格できるかもしれませんし、プレーオフに回るかもしれませんし、最悪大失速してダメかもしれません。

それでも、一年経っても変わらず、週末に試合結果を楽しみにできるクラブで良かったなと思います。やはり、自分は何だかんだ言って物好きなのでしょう。

 

構成も何もない駄文でしたが、お読みいただきありがとうございました。

 

(いうてシモヴィッチ選手も大概規格外の選手としてもっと評価されるべきだと思う)