試合を支配しなかった名古屋グランパス
こんにちは。火力不足です。
本日、J2の第39節が行われ、名古屋グランパスはザスパクサツ群馬との試合がありました。台風接近の影響を受けて大雨と激しい風に見舞われたり、試合が中断されるなど、選手としても観戦するサポーターとしても大変な試合となりました。
結果的には、勝ちしかない場面で逆転勝利をおさめたわけですが、はっきり言って逆転という盛り上げ自体が全く持って不要だったといえます。正確には、勝つしかないはずなのに勝つためにボールを持っていなかったように思います。
本日は、試合について感じた雑感について記すことを目的とします。
目次
・天候の皮肉
・支配ではない戯れ
・まとめ
・天候の皮肉
台風の影響により、試合が始まった直後はひどい雨風で、まともにプレーできる状況ではありませんでした。特に、風下にいた群馬の選手は雨は顔に当たり、ゴールキックは風で大きく戻されと、攻めようにもボールを進められないという名古屋にとってはラッキーな状況でした。そして、皮肉にもまともなサッカーがとてもできなかったこの前半20分くらいの時間が、もっとも名古屋が試合を支配していた時間でした。パスサッカーができないという環境の中、現実的にボールを前に運び枠内にシュートを打ち雨による事故を狙うという意志統一がなされていたように思います。天候を考慮しても20分間群馬が点を取る気配は全くありませんでしたし、前半の早い時間帯に狙い通りの形でセットプレーからネットを揺らしています。
この時間帯は、ボールを保持して魅力的に崩していたわけではありませんが、現実的に判断してパスサッカーに拘らなくなった結果、試合を支配していたのはまさしく皮肉ですね。試合を支配し、有利に進めるためのパスサッカーなのに、パスサッカーが目的化して、結果主導権をむしろ失ってしまっているのは滑稽です。
そして、さすがに雨風が激しくなりいったん試合は中断されました。あのまま試合が続いて風下になっていたら負けていた可能性もあるので、この点でも運が良かったと思います。
しかしながら、中断によってモチベーションを維持するのが難しかったとはいえ、荒天時の現実的な選択は影を潜めていきます。パスを回すことに拘り、きれいにやろうとしすぎて中央で引っかかったり、自分たちのミスで流れを切るようなパッとしない展開になっていきます。
正直に申し上げると、クラブ内部で揉めているせいもあるのか、お世辞にも群馬の守備は良いものとは言えませんでしたし、徹底的に名古屋のボランチを潰したり、パスをそもそも回させないような方法もとってきておりませんでした。それにもかかわらず、自分たちのミスから惜しい場面を作らせていましたね。「自分たちのサッカー」に拘泥した悪い時の日本代表を思い起こさせます。
・支配ではない戯れ
荒天時の現実的で容赦のない支配するサッカーから一転して、後半は逆転されるまでやっていたのは戯れるサッカーだったと考えます。確かに自分たちの足元にボールはありますが、相手の嫌なところに運ぶわけでもなく、ボールが足元にある状態を支配と勘違いしているような状況でした。間違いなく後半開始直後の10分は弛緩していたでしょう。そうでなければ簡単なミスから2失点もしませんし、2失点しないと自分たちの意思統一ができないのならそれは支配とは言いません。変にボールを持てるようになったことで、かえって支配できなくなるというのは本当に皮肉ですね。
失点しないと攻めるスイッチが入らないのは、何のせいなんでしょうね。もはや上品に戦う時期はとっくに終わって、事故でもなんでもいいから一点でも多くとり、一点でも少なく失点を抑える時期だと思うのですが。その辺りを監督さんに尋ねてみたいところではあります。
・まとめ
風間サッカーを一年間進めた結果、ガブリエルシャビエル選手の不在が最もチームに影響しております。また、ボランチの田口選手・小林選手に過剰なタスクがかかっています。なぜか夏に加入した選手が成功の可否を握っていますし、一人でも負傷や体調不良に見舞われると途端に完成度が落ちます。また、試合中に勝っていても落ちます。そんな不安定な状況は試合を支配できているとはやはりいえないのではないでしょうか。正直なところ申し訳ありませんが群馬は内部分裂含め現在の勝ち点に相応するチームであったとは思いますし、最も5-0を実現しやすい相手と展開だったと思います。
しかしながら、結局まだ一度も5-0にはなっていませんし、いまだに最低限の守備やボールを奪われた場面のリスク管理も整備されていません。勝ったことしか収穫がありません。
まぁ勝ち自体は喜ばしいことではあるのですが、あまりにも稚拙な試合運びがありすぎましたね。勝利したとはいえ現地観戦したサポーターには不満が出てもおかしくない内容だったと思います。