炭火生存日記

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「死の組」に入ることは、喜ばしいこともある

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こんにちは。火力不足です。

 

日本がワールドカップにおいて、「死の組」に入るのではないかという可能性を危惧した記事ですが、実際問題第一ポッドの強豪になったとしても「死の組」の問題は付きまといます。日本に限った話ではありませんし、第三ポッドに入ることができたとしても同じ話です。運よく今までは回避できていますが、回避しても上がれる可能性が高くはないのが日本の現在地だと思います。

結局勝ち上がるには格上から勝ち点を取らなければなりませんし、日本にとって明確に実力で格下と呼べる相手など本大会にはいません。

まぁワールドカップ出場が決まったうえでの皮算用みたいなものなので、妄想にとどめてワクワクするのが正しい受け取り方なのかもしれませんが、「死の組」に実際入ることはメリットもあります。

 

本日は、「死の組」に入るメリットについて書くことを目的とします。

 

 

目次

・歴代の「死の組」からわかること

・真剣勝負の場

・まとめ

 

・歴代の「死の組」からわかること

ここ5大会で「死の組」と呼ばれた国の組み合わせを見てみます。

1998 フランス大会 ナイジェリア パラグアイ スペイン ブルガリア 

2002 日韓大会 スウェーデン イングランド アルゼンチン ナイジェリア

2006 ドイツ大会 アルゼンチン オランダ コートジボワール セルビア・モンテネグロ(当時) 

イタリア ガーナ チェコ アメリカ

2010 南アフリカ大会 ブラジル ポルトガル コートジボワール 北朝鮮

2014 ブラジル大会 コスタリカ ウルグアイ イタリア イングランド

オランダ チリ スペイン オーストラリア

ドイツ アメリカ ポルトガル ガーナ

 

太字がグループリーグを突破した国となっております。そして、「死の組」というのがだいたい第二ポッドの中堅欧州国と、第三・第四ポッドのアフリカ・中南米の国によってできているといえます。要は、第一ポッドでも強めの国が入ったのみならず、曲者や一芸を持った国が揃い、強豪も十分敗退があり得るというのが「死の組」なわけです。

ただ、賢明な方は気づいたかもしれませんが、アジアの国があまり入っておりません。2010年の北朝鮮と2014年のオーストラリアくらいですね。2010年の北朝鮮は国として非常に手の内が読めず不気味であったことから「別の意味の死」として含有されていたように思います。2014年のオーストラリアはスペイン・オランダの同居とチリの存在が大きすぎた結果割を食ったという印象の方が強く、オーストラリア自体が不気味な存在として評価されていたわけではありませんでした。もっとも、別グループのコスタリカも戦前は似たような評価でしたが、結果的には躍進しております。

つまり、ここ5大会の話ではあるのですが「死の組」の一員として結果を出したアジアの国はいないどころか、勝ち点すらも怪しく、もっと言えば戦前に侮れない国として評価されていた国もいません。その中で、日本が第四ポッドの中で一・二を争う「厄介な国」として評価され、「死の組」を構成する一員となるのは、割と個人的には快挙なのかなと感じます。日本は、2010年に国外のワールドカップで初めてベスト16を達成してから、「対策なしで勝てる国」といういわば舐められたカテゴリーの段階は卒業できたように思います。そして、「対策されても勝てる国」の実力はまだなく、逆に傲慢にも相手への対策を怠った結果惨敗したのが、自分たちのサッカーを貫いた2014年のワールドカップだったと思っております。

今回のワールドカップで、厄介な国になることができれば、それは日本サッカーにとって大きな進歩になると思います。

 

・真剣勝負の場

当然ながら、「死の組」では普段戦えないような国と密度の濃い日程で本気で戦えます。優勝を狙うような国だと、カードトラブルやけが、体力の消耗に繋がってしまいやすいので「死の組」は敬遠されやすいのですが、実際優勝を狙えず、序盤にピークを持っていくしかない日本にとっては格上喰いのチャンスです。なんせ相手が全員格上ですし、日本にだけは勝ち点を落とせないと思って挑んできます。少なからず相手にプレッシャーを発生させますし、日本に失うものはありません。まして今のハリルホジッチ監督のサッカーは格上を嵌めることに関しては歴代最高クラスです。

現状の日本の立ち位置と志向するサッカーを踏まえると、「死の組」に入り、真剣勝負の経験・格下としての開き直り・油断や慢心の排除などを実現して戦えることは、日本サッカーの現在地を把握し、トップに追いつくうえで不可欠な道になるのではないでしょうか。

個人的には、下手に中堅国だらけのグループに入る方が次へ進む望みも薄く、収穫もあまり得られないと思っております。折角4年に一度の大切な機会ですから、可能であれば一日でも長く現地に残ること、それが難しければせめて学べること、活かせることは蓄積したいですよね。

 

・まとめ

今勝つことを至上にするのなら、「死の組」は入らない方がよいと思います。ただ、今後のことを考えると、日本は一度「死の組」を経験した方がよいように思います。

オーストラリアは2014年に死の組で敗れたことで世界との距離を痛感し、現在ボールを保持して相手を崩すスタイルに転換している最中です。先日の試合ではオーストラリアは、そのボール保持への拘泥によって試合を落とす形になりましたが、距離を知って新たな一歩を進んでいる点は日本も見習うべきであると思います。2018年は、日本にとってどんなスタイルが向いているかを確かめる大切な年になると思います。結果的に勝ち点0でも守備を重視し、相手にボールを持たせる今回のやり方が向いているとわかるかもしれませんし、勝ち点6で勝ち抜いてもこのやり方に未来はないと確認するのかもしれません。

個人的には、攻撃に重きを置くと攻撃偏重に陥り玉砕サッカーを始めるので、守備に重きを置いていた方が現時点ではよいと思います。組み分けがどういう形になったとしても、決して油断はできませんし、決して諦めることもありません。

他国からすれば、6大会連続出場でベスト16進出経験のあるアジア首位国で、監督は前大会で世界を驚かせた監督です。親善試合では露骨に戦術を隠しているので、まだ手の内は丸裸になっていません。サッカースタイルも読めない国とくれば、第四ポッドの国としてはわりかし嫌な国になるのではないでしょうか。

それくらいの国としての境地まで至れたことを、もう少し喜んでもよいように思うのですが。