炭火生存日記

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サッカー日本代表対ハイチ戦の雑感

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こんにちは。火力不足です。

 

昨日キリンカップのハイチ戦が行われ、3-3で引き分けました。10月の2試合は戦力見極めのテストの色がやや強い試合となり、もともと大勝を狙うのは難しい試合ではあったのですが、いざ蓋を開けてみると、情報は得られたものの収穫は少なかった2試合になったように思います。特に、今回のハイチ戦については、比較的緩慢な相手の立ち上がりから運よく2点を早い時間で手に入れたにもかかわらず、老練さのかけらもなくみすみす流れを手放し、自分たちの首を絞めています。

さすがに監督は今回テストに徹したせいか、頭の悪い解任論は聞こえてきません。もしこれで解任しろという声が上がるのなら監督はテストさえできないことになりますからね。

 

正直なところ、テストをいざ行った結果実りが多かったのかを考えると、残念ながらそれはノーでしょう。ただ、今回マッチメイクをしたからこそ得られた収穫も確かにあります。

そこで、本日はハイチについて印象に残った点や、選手の評価について考えることを目的とします。

 

 

目次

・ハイチについて

・評価を上げ下げした選手

・まとめ

 

・ハイチについて

戦前の情報では、正直なところFIFAランクでは同格程度くらいの情報しか持っておりませんでした。そう言う意味では未知数の実力の相手という認識でした。

簡単にハイチが敗退した北中米4次予選を調べてみると、ハイチはコスタリカパナマ・ジャマイカと同じ組になり、ホーム&アウェイの計6試合を1勝1分4敗で終えて敗退しています。しかしながら、3点差以上で敗れるなど明らかに力の差があるスコアは一つもなく、北中米においても徐々に弱小国と正直呼んでも差し支えない国は減少しつつあるのでしょう。また、メキシコやコスタリカ・アメリカといったワールドカップ16強・8強の経験がある国と日々戦っているという点では、実力は日本が格下と断言できるような国では断じてないでしょう。

実際の試合でも、ハイチ自体が混乱していた前半の立ち上がりこそ守備はお世辞にも良いと呼べる代物ではありませんでしたが、日本のスピードと味方との連携に慣れた後半には、日本の中央を割りたがる攻撃に対しある程度的確に中央を締めたり、決定的なチャンスになりかねなかった日本の二回のカウンターをいずれもプロフェッショナルファール(カードを覚悟して決定的なチャンスにつながる相手のプレーを寸断するファールのこと)で止めています。その場面では至極妥当にイエローカードが出されましたが、まぁ狙い通りのプレーだったでしょう。それ以外の場面では足裏を見せた少し危ないタックルが一回あった以外は非常にクリーンなプレーをする好チームだと感じました。試合中の笑顔も印象的でしたし、対戦相手として適度な実力も併せてまた対戦を見たいチームでしたね。

ただ、ハリルホジッチ監督は今回の試合はスタメンを相当弄っており、本気のメンバーではなかったことも考慮すると、Jリーグ組では勝てないが、欧州組で揃えればそれなりには勝てる可能性が高いくらいのレベルの相手とするのが妥当なように思います。

 

・評価を上げ下げした選手

今回の2連戦で戦力として考えられる選手が増えるという「うれしい誤算」はほぼありませんでした。残念ながらその程度の選手層であるのが日本の現状だと思います。以下、色々な選手について簡単に評価が変わったと思われる選手を記述していきます。

 

・川島選手・吉田選手・酒井宏樹選手

3選手とも欧州でプレーしており、特に吉田選手・酒井選手は一部でレギュラーを張っています。その実力をニュージーランド戦で発揮したのみならず、ハイチ戦で「出場しなかったことで相対的に評価が上がった」ことで、かなりロシア行きが近づいたのではないでしょうか。これでしばらく不毛な叩きを受けることもないのかなと思います。国内組との差が顕著であり、後釜がいない深刻さを彼らの不在によって証明したのではないでしょうか。

 

・長友選手

一番評価が難しい選手です。対人の守備面での衰えが顕著で、この2戦の1失点目は両方とも彼が相手を潰しきれなかったところから崩され、失点に直結しています。ただし、長友選手一人がひどすぎたというわけでもなく、特にハイチ戦はディフェンス上の致命的なミスが複数重なって失点しているので、一概に彼の責任とも言い切れません。もっとも、テストによって連携がほとんど期待できない中、唯一何とかなりそうな左サイドからチャンスを生み出し、早々にアシストを決めたのはさすがですが、ハイチが寝ていたことも加味すると正直評価が難しいところです。

高さは間違いなく本大会で狙われるので、ロシア行きが確定したかは微妙なところでしょうが、バックアップの車屋選手の出来を考えると、消極的にロシア行きが決まった気もします。

 

・小林選手

数少ないこの連戦の希望を見出すとしたら彼になるのかなと思います。中盤で様々な場面に顔を出しながらボールを円滑に回しチームを助けていました。また、非常にルックアップの回数が多く、周りがよく見えているので判断ミスが少なく計算できる選手であると思います。左利きなのも監督にとってはありがたい話でしょう。

課題としては、守備時のポジショニングにミスがある場面があることと、左利き故左足に頼りすぎて場面をかえって難しくしてしまうことがある点でしょうか。

本職といえるインサイドハーフだけなく、人材不足のアンカーやら左サイドバックやらへのコンバートを見てみたい選手ですね。

 

酒井高徳選手

サイドバックとして、前半は何度か持ち上がるとともに惜しいシュートも放つなど存在感を放っていました。また、積極的に相手選手を動かす形でパスコースを作っており、酒井宏樹選手とは異なるタイプのサイドバックとして計算できることを示したのではないでしょうか。ただ、攻守ともに決定的な働きを今回の試合で為せなかったことを踏まえると、現状は酒井宏樹選手の方が序列が高いように思います。とはいえ、一定水準で複数ポジションをこなせることからロシア行きは割と現実的な選手だと思います。

 

・乾選手・浅野選手

悪かったという印象はありませんが、特別違いを生み出したところもなかったかなという印象です。構造上運動量を豊富に求められる大変なポジションではありますが、その分代わりがいるため、速さや巧さで違いを見せない限り、スタメン定着は難しいように思います。ただ、彼らも消極的にロシアに行けそうな気はしますね。とにかく希少な強みを有していらっしゃる以上、欲しくなる場面は必ず訪れる見込みがあるからです。

 

・倉田選手

国内組で唯一生き残る可能性を示した選手かなと思います。何よりも結果を出さなければいけなかったこの2試合で、一番数字という形で結果を残しました。労を惜しまず走れるのも監督にとってはプラス評価ではないでしょうか。あとは組織的なチームとしての動きをどこまで一員として実現できるかにかかっているのかなと感じます。また、杉本選手のゴールとなった場面は反省材料になる気がします。本番では許してくれないでしょうからね。

 

・杉本選手

一方で、結果は出しながらもアピールがうまくいかなかったのが杉本選手かなと感じました。ゴールという結果は出しましたが、あれは倉田選手が決めていれば存在しない場面でしたし、シュートも狙ったというよりは正直運よくタイミングを外したという結果オーライのものでした。ハイチが緩慢なうちはいくつかシュートを放ったものの、いずれも枠に飛ばず相手を脅かすきわどいものでもなく、後半になってからは存在感も薄れてしまいポスト役も果たせぬまま時間が経過してしまったという印象を受けました。

勿論、選手としての強みや得意な形は間違いなくあるのでしょうが、「俺が得意な形をチームで作れば必ず収支は俺がプラスにする!」と断言できるほどの強みは正直ありませんでしたね…。

 

・東口選手

3失点とも簡単に防げるものではありませんでしたが、GKの序列をひっくり返すのならどれか一点(一点目で捕球に行かずはじくことに専念するなどの判断)は防いでほしかった、防いで然るべきものでした。責められるべきであるとは思えませんが、3失点という結果ならびにゲームの結果を左右するビッグセーブがなかったことからも、川島選手の控えGKという立場を確定させてしまったように思いますね。ハイチ相手にビッグセーブが出なければ、それ以上の格上相手にも出せないと判断する方が妥当でしょう。ツキもなかった展開ではありましたが…。

 

・昌子選手・槙野選手

吉田選手との差を露呈してしまったことや、ディフェンスリーダーとして世界と戦いきるには不安が残るような試合になってしまいました。また、ディフェンスラインを上げられなかったことで中盤が間延びし、ボールを回収できなくなってしまったのもマイナス要素です。今回ラインコントロールがうまくいかなかったのは、臆病さなのか、理想すぎた試合展開で意識的に守りに入ってしまったのか、単なる実力不足か、連携の不足か、はたまた別の事情なのかは分かりませんが、とにかく人材不足を痛感させられる親善試合となってしまったように思います。彼らがJリーグトップクラスのセンターバックなのは間違いないでしょうからね。

 

・遠藤選手・車屋選手

次は厳しいと思わされる低調さであったのかなと感じました。遠藤選手は日本人で適切にこなせる人間が存在しない(世界中めぐっても怪しい)魔のアンカーに配置されてしまったことは勘案されるべきでしょうが、だとしても守備の人としては相手の攻撃を加速させる不要なスライディングやボールホルダーを潰しきれない距離感、奪い方は無視できない落第要素でしょうし、攻撃の人としては配球力、展開力などは圧倒的に足りていないでしょう。初招集された際のサイドバックが一番まともなプレーをしていたように思います。

車屋選手は何のインパクトも残せなかったかなと正直感じてしまいました。相手を剥がすでもなく、深くえぐったマイナスのクロスを上げるわけでもなく、連携がない中に溺れてしまったように思います。最後の最後に得点に関わるクロスは上げましたが、「車屋選手だからこそできた」プレーではなかったでしょう。警告を受ける基準について知識が怪しいところもある選手ですし、長友選手を押しのけてまで監督が使いたくなる実力や、そう思わせる迫力はなかったように感じました。

 

・まとめ

主力選手が悪い意味で固まってしまい、一人でも怪我をすればあっという間に崩壊しかねない状態になっております。それは日本クラスの国では別に驚くほどの話ではないのですが、弱小国と言われてきたような国が着々と力を付けている一方で、日本は「日本らしさ」を追求するあまり明後日の方向に進んでしまっているように感じます。そして、それが国内リーグであるJリーグガラパゴス化を進めてしまっているのではないでしょうか。

今回の2試合で、海外組>国内組という残酷かつ明確な序列が出来上がってしまったように思います。唯一の収穫は、「調子のよい国内組も呼べ!」という声がしばらくは聞こえなくなるくらいですかね。

 

参考記事

 

karyokuhusoku.hatenablog.com

 

 

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