炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

弱い箇所への負担のたらいまわし

 

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こんにちは。火力不足です。

 

ブラックバイトが減少し、そのしわ寄せが店長に寄っているという話らしいです。個人的には疑問しかありません。記事の題名には「過保護」というバイトがあたかも守られていて、その現状に安住しているかのような印象を与える言葉が選ばれていますが、決してそんなことはないでしょう。

なぜなら、人手不足が金銭投資もなく簡単に解決するわけがありませんし、その分の忙しさは店長一人では解決できません。物理的な負担も精神的な負担も少なからずアルバイトに転嫁されるでしょう。物理的に終わらない量が勝手に解決することも、どうしようもない無力感や忙しさ・理不尽さからくるイライラが勝手に消えることもありません。そうした負の要素を生み出す環境が間違いなく悪く、そのような環境が日本から撲滅された印象は全くありません。

本日は、この記事に感じた疑問に突っ込みを入れることを目的とします。

 

 

目次

・店長は限界

・アルバイトはしょせんアルバイト

・負担は消えはしない

・まとめ

 

・店長は限界

記事中の例を参考にすると、残業を190時間なさっているそうです。理性を保ったままよく取材を受けてくださったなぁと感じますね。はっきり言って、ここまで働いておかしくならない方がおかしいです。一人の人間にここまで過重な負担をかけて回すシステムを容認している時点で組織のレベルを疑いますね。根拠のない自信で自分を守らないと、いつ自殺を選んでもおかしくない位の負担を受けていることでしょう。

こうした状況で店長が現場の改善やアルバイトの育成を十分にできると考えるのなら、お花畑もいいところだと思います。それをこなすのが店長でしょうか?できないのは甘えでしょうか?そんなわけありません。

「辞められ店長」とまるで辞められる店長に問題があるかのように書いていますが、根本は負担を現場に押し付ける社長や本社のせいでしょう。それにもかかわらず、店長自体の改善を求めている時点で、この記事は何を意図しているのかよくわかりません。バイトも甘えず働けということでしょうか。

個人的には、店長への負荷が明らかに常軌を逸しているというのが第一印象でした。長すぎる労働時間や孤立した職場環境は人間の肉体や精神を間違いなく歪めるので、サービス業であればその歪みが客にも伝わります。覇気のなさは隠せませんし、疲れている中でそんなことを気にする余裕はありません「採用力を養う」やら「受け入れ力を磨く」やらのアドバイス(笑)が記事中にはありますが、やれる余力があればとっくにやっているでしょう。

したがって、アルバイト育成の問題を現状で店長に転嫁するのは徹頭徹尾間違っていると断言できます。勿論、充足した人員と休息時間・相応の報酬がありながら育成を怠っていれば怠慢ですが、この3つが揃った職場をサービス業で探す方が難しそうですね。

 

・アルバイトはしょせんアルバイト

アルバイトは責任がないからこそ金銭的に安く雇えるわけです。マニュアル程度で容易に代替できるような軽度な仕事しか受け持たず高度な知識・技術を必要としないからこそ安いのです。そして、安価で高度な知識や技術がないため、必然的に責任も強くは生じません。というより生じようがありません。強い責任の下ある程度重要な判断ができるのならその人はアルバイトとは言いません。

また、高度な知識や技術を必要としないとはいえ、経験や教育なしで業務をこなせる人間はまずいません。盗んで覚えるのは言語化できない分野のみです。よって、要素が言語化できないほど難解なものにはアルバイトなど存在しません。歌舞伎や落語で舞台に立つアルバイトとかないですよね?

少し話が逸れましたが、アルバイトにおいて教育は雇う側の義務です。ついでにモチベーションを向上させるような報酬・勤務形態を設定するのも義務でしょう。よって、実践主義の名の下、ぶっつけ本番でやらせてみるなんて論外です。そんなことをしてどうして失敗しないと思えるのでしょうか?結果失敗すれば、店長は怒りたくもないのに怒る羽目になりますし、バイト側は「できるわけないだろ」と思いながら一応頭を下げつつ、やる気を一気に失います。理不尽の極みですからね。ついでに客もよい思いをしないという3重苦です。私のかつてのアルバイトでも似たような事例がありましたね。やられてみるとわかりますが、本当にやる気が溶けていきます。

かつてはアルバイト側が横柄だった時代もあったのかもしれませんが、今は雇う側がアルバイトの熱意や真面目さを搾取し、それに甘えているのでしょう。店長不在時にアルバイトに店を任せるなんて論外です。有事の際どうするのでしょうか?好意で引き受けたアルバイトに全責任を押し付けるのでしょうか。悪夢ですね。

 

・負担は消えはしない

人が増えても機械が増えても、物理的に終わらないものは終わりません。そうした理不尽かつ無力な状況は、少なからず肉体的にも精神的にも負担を生み出します。余裕があるうちは趣味などによって自分で負担を昇華できるかもしれませんが、時に誰かに転嫁せざるを得なくなる時もあります。誰かに転嫁された負担はまた別の誰かに転嫁されるか、ストレスという形で誰かが一時的に「消えたように見せかけるか」どちらかです。決して負担のエネルギー自体が消えてなくなることはありません。誰かに負担を転嫁しすぎれば、自殺・「無敵の人」化・暴力・犯罪など、人により形を変え品を変え必ずいずれ発現します。

末端の人間に負担を押し付け続けてきた人間が、大切なものを負担転嫁の暴走の結果起こった事象によって失うというのは、痛快な話ではありますが笑える話ではありません。今後、ますます増える可能性もある以上、部外者として笑っていられる時間はないという感覚があります。

 

・まとめ

正直なところ、店長やアルバイトにできることなど限られています。今意識を変え、譲歩しなければならないのは本部と消費者でしょう。皆が苦しいのはわかりますが、このまま負担の転嫁を繰り返しても先に待つのは破滅でしょう。とりあえず私は残業190時間の店長に対し「現状の改善ができていないのは店長の責任」なんて口が裂けても言えませんし、残業が80時間を超えている時点で業務の構造として何かおかしいでしょう。年収が数千万になるならまだわからなくもない話ですが、数千万だとしても100時間超えは人間らしさを失い、脳細胞を壊すことになるので個人的にはごめんです。

 

弱い場所に負担をぶん投げ続けるまま変わらなければ、いつか自分が笑いながら他人に押し付けてきたストレスや負担に大切なものを奪われることになるでしょうね。