炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

日本代表対ニュージーランド戦の雑感

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こんにちは。火力不足です。

 

昨日キリンカップが行われ、ニュージーランドを相手に2-1で勝利しました。

とりあえず勝利できたことは喜ばしいのではないでしょうか。まだまだ課題は山積ですが、順調に一歩ずつは前に進んでいる印象は受けますね。これからの2か月間が代表の強化には重要な期間となるため、可能な限りけがなく終えてほしいものです。

 

試合自体は、天候のせいもあってかシュートが枠に飛ばない展開が続き退屈ともいえる展開が続きました。また、メンバーもあまり目新しさがないせいか、比較的批判の声が目についたように思います。

 

本日は、テストの意味と非難に対する考え、現状の課題について記述することを目的とします。

 

 目次

・数人変えてテストする意味とは?

・監督が正直では困る

・絶望的なボランチの不足

・まとめ

 

・数人変えてテストする意味とは?

テストするのなら、もっと大量に変えて試してもよいのでは、という声が多く見られたように思います。確かに自分も半分は賛成です。どれくらいやれるのかを試す相手としてニュージーランドは決して侮れる相手ではなかったため、当落線上の選手が90分どういったプレーを見せるのかは正直なところ見たい思いはありました。

ただ、ある選手のプレーを見極めるためには、他の要素は可能な限り変えてはいけません。あらゆる要素を同時に変更してしまうと、結局どの要素が変化に強く作用したのかがわからなくなりテストの意味を失ってしまうからです。可能な限り異なる要素 (交絡要因)を排除し、ある事象の影響のみを抽出するのが実験を行うときの鉄則です。

例えば、今回の試合で言えばおそらくテストされたのは武藤選手・香川選手・槙野選手あたりだと思います。これ以上選手を弄ってしまう(例えばCFのスタメンに杉本選手を起用する、CBから吉田選手を外す、SBに車屋選手を起用する)と、上手くいけばよいのですが、そんなに甘くはなく大抵は呼吸が合いません。こうした形でチーム全体の機能不全が起こってしまった場合、悪いのは誰か、ということが特定できなくなってしまいます。

例えば杉本選手を起用した結果、攻撃がうまくいかないという事象が起こってしまったとします。ここで単純に杉本選手が悪いと断じるのは簡単ですが、そんなに簡単に断言はできません。勿論大迫選手ほど前線でボールをキープできずに失ってしまうというケースもあり得ます。しかしながら、周りのフォローが遅く孤軍奮闘せざるをえなかったり、後方からのパスの質が酷く、生きたパスが全くもらえないというケースも十分にあり得ます。つまり、本人の実力どうのこうの以前に、そもそもまともな形でボールが入らないということもチームが機能不全の場合十分起こりえます。たとえC. ロナルドやメッシであっても生きたボールをもらえなければ試合からは消えます。

一方、守備面でも同じことが言えます。失点につながりかねない局面のすべての原因がCBやGKだけにあるケースはまれです。前線の選手がボールをもらいに来る動きに欠けていたり、第一守備を怠った結果ずれが生じてピンチになることも珍しくありません。こういった攻守への総合的な貢献が選手の評価に繋がります。槙野選手など守備の選手の場合の判断材料は攻撃の選手の評価基準を反転させればよいですね。

したがって、個人的にはテストするのは数人が限界だろうという気がします。単純に見てみたいという感情が絡むので複雑ではあるのですが…。

 

・監督が正直では困る

監督が何をしたいのかわからない、という声も見かけましたが、実際素人レベルでわかってしまうようでは困ります。今や世界中に映像として監督が話したことは流れますし、映像も比較的容易に入手できます。もし、監督がペラペラと自チームの方針を話してしまえばあっという間に簡単に対策され、勝てなくなります。よって、公の場で監督が本音を簡単に話すことはまずありません。話すメリットがありませんし、話したところで建設的な議論を広げるメディアもほとんどないからです。

本来は、監督が煙に巻いた表現をしたとしても、それを詳細にかみ砕いて説明できるメディアが一般人に説明したりすることで知見を得ることができるというのが理想だと思いますが、あまりその役割を果たしているメディアは正直少ないかなと感じます。

ただ課題だらけというのは本音だと思いますがね。

 

・絶望的なボランチの不足

ザッケローニ氏が監督だった時代からずっと直面している課題なのですが、日本には世界と戦う上で攻守に貢献できるボランチが不足しています。攻撃だけ、守備だけに限ればいないことはないのですが、そのひずみが必ず周囲に波及します。香川選手が代表で輝けないのはまさにここで、自分の形で適切なスピードのボールが入ることが代表ではほとんどなく、また個人で相手をはがす圧倒的な個人技には乏しいことから、相手から警戒されリズムを作れないまま消えます。

香川選手に限定してもこうした影響がありますが、こうしたボランチの不足は採用できるフォーメーションにも大きく影響します。FWを活かすための2トップ採用案もよく見られますが、そうなると中盤か最終ラインから一人減らす必要があります。具体的には1-4-4-2か1-3-5-2、1-5-3-2あたりになりますが、1-4-4-2はセンターハーフをこなせる人材がいませんし、残りの二つも3バックで強度を保てる人材がいません。ついでに現在用いられている1-4-3-3のアンカーをこなせる人材もいません。長谷部選手でさえ怪しいことがありますし、後任も育っていません。

 

・まとめ

親善試合としては個人的には意味があったように思います。最終的に内容が悪くても勝ち切ることができたのも経験としては良いでしょう。本番は11月の遠征なので、そこで一定の成果が得られるよう、この一か月を有意義に利用してほしいものです。もう少し枠内にボールを飛ばしてほしいですね…。