炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

給食の問題は、関わる人間が余裕を失った縮図

 

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こんにちは。火力不足です。

 

教師による「完食」指導が行われ、生徒5人が嘔吐してしまったようです。まぁ一人ならいいという話でもありませんが、5人もいるとなると何らかの原因が教師側にもあったことは間違いないでしょう。死に至るアレルギーを子供が持っている可能性もある以上、ただ完食を目指し精神論で食べさせるのは間違っていると断言できます。

 

ただ、その一方で子供が食べ物を粗末にするようになるのもよいこととは言えません。大量に残された残飯を見るのはあまり気分の良いものではないでしょうし、その分子供のおなかに入っていないわけですから、限られたものだけ子供が食べてしまうのも望ましいとは言えません。

 

ただ、教師の業務量の問題はかねてから言われており、給食という制御しようのない部分まで教育を求められたら精神を病むでしょう。一朝一夕で解決できたらそれは札束か洗脳か暴力です。

 

勿論ニュースの件で言えば「やりすぎ」の一言に尽きるのですが、件の教師だけを責めても何も解決しないように思います。本日は、給食に潜んでいる問題を考えることを目的とします。

 

 

目次

・安さと安全の両立

・子供の味覚は鋭敏

・肝心の親も…

・まとめ

 

・安さと安全の両立

まずそもそも、給食自体が矛盾の塊です。具体的には、一食200~300円、高くてもワンコイン未満程度の予算で、安心・安全であることと、それを支える衛生管理は絶対に要求されます。この時点で個人的にはわりと絶望なのですが、加えて高い栄養価も大切になります。毎食うどんだけみたいな大人が無理をするときの方法は使えません。勿論、子供の成長や家庭環境を考えると量も欲しいですし、可能なら「飽き」が避けられるとよいでしょう。食べやすさも重要ですね。そして、肝心の味が悪かったりしようものなら工夫むなしく子供の口には入りません。

…正直無理じゃないですかね。安さをとるためには大人であれば色々犠牲にできるものはありますが、子供向けとなると犠牲にできないものばかりです。一度親向けに給食で我慢できる項目について調査を行ってほしいものですね。

 

・子供の味覚は鋭敏

そしてこうした八方ふさがりの状況に追い打ちをかけるのが、子供の味覚です。彼ら彼女らの味覚は鋭く、おいしさには敏感であると同時にまずさにも敏感です。ただでさえ安全上使わざるを得ない酢の利用や加熱処理によって味を犠牲にせざるを得ないところが給食にはあるのに、使える食材も予算の上で質の良いものはなかなか使えません。ある程度は食材の質と味は比例するため、安いものは安かろう悪かろうでも文句は言えません。食べさせられるのならよいものを食べさせておいた方が味覚は鋭敏になりますが、とりあえず給食で全国津々浦々実現するのは無理です。

ここ最近になり衛生上酷く、「一人以外全員が残す給食」や「何もかも冷たい給食」など、給食に関して暗い話題が多いのは決して偶然ではなく、要求が過重すぎて誰もこなせなくなっているという状況があるのは間違いないと思います。こなせる人間は世界中探せばいるでしょうが、この状況を解決できる人間は給食の改善に取り組む時間はありません。

では、そういった過重な要求をするのは誰か、を考えるとそれは親だと思います。ところが、親がすべて悪いとも言い切れないと考えます。

 

・肝心の親も…

法外な要求を課すモンスターも確実にいます…が、大半の共働きの親は給食の改善が提案できるほどの時間も心的な余裕もありません。予算はもっとありません。世帯ごとの可処分所得を給食の予算に当てはめることは不可能ですし、そんなことを万が一しようものならどうしようもない格差と給食の崩壊が起こるだけで、本当に誰も得しません。

値上げに対して文句を言いたくなるのはわかりますし、支出の増加を歓迎する人間なんてまずいません。まして原因が異常気象などによる不作・不漁など、誰が悪いわけでもないどうしようもなく理不尽なものであれば、納得のいかなさは募ります。余裕があれば仕方ないの一言で流せるのでしょうが、今や余裕が残っていません。

モンスターと化すのも、もしかしたら余裕をあらゆるものに奪われた結果の自己防衛手段なのかもしれません。冒頭の完食を強制した教師も、「完食キャンペーン」などの理不尽なものに巻き込まれていたのかもしれませんし、日常の業務で余裕を失っていても何ら不思議ではありません。

大人も疲れ切っていますね。それが子供に悪影響を及ぼしています。

 

・まとめ

あまり暗い話は好きではないのですが、どうしても暗くならざるを得ない話題です。正直なところこうした現状を改善するのは簡単ではないでしょうし、誰かをサンドバックにして解決した振りをすればそれはまた余裕の奪い合いです。誰かのせいにして解決する話でもなく、皆が皆現状に苦しみ、余裕がない結果子供にそのひずみが寄っているのが今の給食や学校教育に表れてしまっているのでしょう。

隣の芝生が世界中に広がってしまって、個人の評価基準が上がってしまったのも影響しているとは思いますが、だとしても余裕の不足は深刻ですね…。