炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

誤審を人間だけでなくすのはもはや不可能

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こんにちは。火力不足です。

 

スポーツの世界において、誤審は付きまとう問題です。特に、多人数になればなるほど、一人一人の動きをとらえるのはより難しくなります。

 

その中でも、私が好きなサッカーにおいては、こと多く誤審は見られます。昨日のJリーグでも「審判が試合の主役になってしまう」試合はいくつかありました。

 

はっきり言って、誤審は誰も得しません。短期的にはチームは勝ち点をごまかせるかもしれませんが、他のチームから言われ続けることにもなりますし、対応を誤ればチームとしての格のようなものが下がります。応援しているサポーターとしても明らかな誤審に恵まれて喜べる人間は少ないでしょう。相手の選手が怪我して喜ぶ人間が少ないのと同様、熱のある堂々とした試合の果てに勝利を見たいというのが願望としてあるように思います。

 

一方で、審判としても誤審をしたくてしているわけではありません。誤審したい審判などさすがにいないと思います。八百長をやってカネもらって遊んで暮らしたい審判は世界中を探せば見つかるでしょうが、少なくとも日本にはいないでしょう。

 

よって、皆が起きてほしくないと思っているのに止められないのが誤審となっています。ただ「誤審はクソ」「審判クソ」といっても何も進展しないので、本日は誤審が起きてしまう背景と、解決法について考えてみることを目的とします。

 

 

目次

・ルールが浸透していない

・サッカーにおける限界

・待遇が良くない

・まとめ

 

・ルールが浸透していない

決まり文句のように、「日本は審判の質が低い」と言われますが、本当にそうなのでしょうか?どこと比べてどういった点が低いのでしょうか?自分の主観と異なる判定をしたからでしょうか?自チームに不利な判定をしたからでしょうか?

もし、自分の判断と異なったからという話なら、それは自分自身の知識を過信しすぎでしょう。以下のような競技規則に基づき、審判は判定を行っています。すべて暗記するべきとは思いませんが、警告がどんな際に与えられるのか、ゴールの定義はボールがどのような状態にあることなのかなど、知っていそうで知らないことが多くありますので、興味のある方はご一読をお勧めします。

 

サッカー競技規則2017/18

競技規則 | 日本サッカー協会

 

また、レフェリングに関するブログなどもありますので、気になる点がありましたらまずは調べてみることをお勧めします。

そのうえで、例えば○○主審はカードを出すことでしかコミュニケーションが取れていないとか、高圧的で選手から無駄な反感を買っているとか、前半と後半で判定が一貫していないとか、体力不足で良いポジショニングで見極められていないとか、副審との連携が下手とかが議論できるでしょう。そうした議論の方がただクソだとわめくより有意義ではないでしょうか。もしこのような様々な点を勘案してなお、審判の質が総合的に低いことが明らかになりましたら、それは日本の課題でしょう。良いレフェリングの称賛無くして、悪いレフェリングは撲滅されません。一時期の審判聖域状態と比べれば、ましになりつつあると個人的には思いますね。

 

・サッカーにおける限界

ここ十年のサッカー界における総合的な進化により、そろそろ人間の目ではピッチ上での事象を正確にとらえるのが難しい領域に差し掛かっていると思います。そもそもボールは人より早いですし、100メートルを11秒程度で走るような快足選手のロングカウンターに審判が追いつくのは物理的に不可能なわけです。そこに追いつけることを基準にしていては審判は永遠にそろいません。

加えて、審判は選手を近くで見ていればよいというわけでもありません。特定の選手に近づくことは別の選手から目を離すことを意味しますし、近づきすぎればプレーの邪魔になります。それも選手からの信頼を失わせ、試合を荒れさせる要因になるでしょう。

当然ながら、選手が疲れるように審判も疲れます。特に主審は要求されるのは90分動き続ける運動量に加え、大切なプレーを見逃さない極限の集中力も必要です。選手は反則や過失を隠そうとしますし、熱くなっていると自己申告も当てになりません。自分の記憶さえ変換される(正確には的確に認知されない)ことは十分あり得ます。

そして、サッカーというスポーツの構造上、一点がとても重たくなります。最も誤審を避けなくてはならないスポーツであるにもかかわらず、誤審が発生しやすい要素を膨大に含んでおります。大のサッカー好きとして知られるトップテニスプレイヤーのロジャー・フェデラーも2010年時点でホークアイ(テクノロジーによるビデオ判定)の必要性を語っており、ブンデスリーガでも今期からビデオ判定が設けられ、重要な判定が行われました。

スピード感などの課題はありますが、両チームが判定で揉めれば試合は中断せざるを得ませんし、不要なカードが乱発するのはサポーターにとっても、観戦初心者にとってもよいことではありません。テニスと同じように、異議という形でのビデオ判定の回数を制限すれば、いつ「チャレンジするか」というさらなる駆け引きも誕生するでしょう。

そう考えると、悪いことばかりでもないように思います。

 

テニス=フェデラー「サッカーにこそビデオ判定が必要」 | ロイター

 

開幕戦でビデオ判定が発動 - bundesliga.com/jp

 

・待遇が良くない

下記サイトによると、J1の試合を一試合担当すると報酬は12万円だそうです。J1のシーズン試合数が34試合ですから、ほとんどの30試合に出て無難にさばいたとしても年収は360万円です。当然ながら、著しい誤審の場合は減給や謹慎、講習会などの再勉強が義務付けられます。Jリーグという環境を考慮すると、日本語のみならず韓国語や英語あたりも無難に話せるトライリンガルである必要もありそうですね。

さて、日常会話以上に言語を駆使できるトライリンガルで、体力も同年代の方以上に備わっていて、専門的な知識を兼ね備えルール改正に基づきアップデートしていく仕事を年収360万でやりたいでしょうか?審判に憧憬があっても厳しい条件だと思います。

最も、J1の試合を一応担当できる一級審判員の上にあるプロフェッショナルレフェリーになれば、金銭的な問題は解決できます。報酬は1000万以上であるそうで、世界トップクラスの方だと2000万を超えるそうです。

しかしながら、日本にプロフェッショナルレフェリーはたったの13人(主審10人・副審3人)です。そうそうなれるものではありませんし、このような「選ばれた審判」でも時に重大な誤審をします。審判のページは、Jリーグをよく見る人が見れば驚くかもしれませんね。

副審がミスをした場合の責任も主審に乗っかって批判されることが多いので、余計に主審に悪い印象が付きやすいのではないでしょうか。

 

日本のプロフェッショナルレフェリー

プロフェッショナルレフェリー(PR)|審判員紹介|審判|JFA|日本サッカー協会

 

 Jリーグの審判になるには?

http://careergarden.jp/shinpan/soccer-shinpan-naruniha/ 

 

・まとめ

審判は批判されやすいわりに褒められないという、ミスを叩く日本の風土の悪いところが出たひずみを受けてしまっているように思います。DAZNの進出によりようやく守備的な選手の良いプレーが抽出されるようになりましたが、ベストレフェリングも可能であれば作って頂きたいものです。審判の判断によりゴールに繋がったプレーなどをベストレフェリングと評することで、選手にも観戦者にもルールを知る気概が生まれることを望みます。称賛されるべきレフェリングも広がるべきだと断じます。

そういった環境は、少なくとも悪口を言うだけよりはずっと有意義でしょう。