炭火生存日記

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ジェンダーギャップ指数だけを引き合いに出す卑怯さが、女性の信用を落としている

news.nicovideo.jp

 

こんにちは。火力不足です。

 

また男女平等云々を訴える記事がありました。

個人的にはこういった記事を見飽きているので、どうせジェンダーギャップ指数だけ使うんだろと思いながら覗いたところ、案の定、日本が男女平等後進国といいたいばかりに、ジェンダーギャップ指数だけが見事に登場しております。

しかしながら、ジェンダーギャップ指数とはそもそもどうやって算出された基準かが言及されることはあまりありませんし、他の指標を用いて総合的に他国と比較する記事は驚くほどありません。都合が悪いからですね。

 

そこで、本日は、ジェンダーギャップ指数の中身を確認するとともに、有用な他の指標について紹介し、発言者秋元才加さんの意見について考えることを目的とします。

 

 

目次

ジェンダーギャップ指数とは?

・欠点

ジェンダー不平等指数(GII)

・幸福度調査

・まとめ

 

ジェンダーギャップ指数とは?

https://kotobank.jp/word/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%97%E6%8C%87%E6%95%B0-516752 

こちらのページに詳細な記載がありますが、平たく言えば世界経済フォーラム(World Economic Forum) という世界の企業や団体が加盟している非営利の公益財団が2005年から実施している調査です。各国の資源や機会が男女間でどのように配分されているかを4項目から判断し、指標として作成しております。その4項目が、

 

(1)経済活動の参加と機会(給与、雇用数、管理職や専門職での雇用における男女格差)

(2)教育(初等教育や高等・専門教育への就学における男女格差)

(3)健康と寿命(出生時の性別比、平均寿命の男女差)

(4)政治への関与(議会や閣僚など意思決定機関への参画、過去50年間の国家元首の在任年数における男女差)                      

 

となっております。経済フォーラムが調査しているだけあって、どれだけ経済活動に積極的に参画しているかが重要な指標となっていますね。

 

2016年度のジェンダーギャップ指数は、

(1)0.569

(2)0.990

(3)0.979

(4)0.103

※1に近いほど平等で、0に近いほど不平等

で順位は144カ国中111位となっております。これだけ見ればとんでもない差別国に見えますが、カラクリがあります。だからこそこぞってみんな女性差別の話題にジェンダーギャップ指数を使うんですがね。

 

・欠点

どんな指標でも欠点はありますし、ジェンダーギャップ指数も例外ではありません。指標として経済活動への参画が非常に重視されているということですね。つまり、国として男女平等にどのような背景を有しているのか、当の本人がどういう形での参画を望んでいるかなどは考慮されず、純粋に数や比率で測定されます。この辺りは女性が権利を自力で獲得した欧米主導の指標であることや、社会への参画を重視するという側面を目的にして行っているので理解できますね。しかし、こと日本においては背景が異なるので、日本を狙い撃ちしたかのように低い数字が出ることになります。日本女性の意志が置き去りにされてしまうわけですね。国ごとの幸福度であったりを持ち出して比較しないと単に数字を羅列しただけに過ぎないわけです。

また、算出方法が4つの指数を足したものを平均値として算出するやり方のため、日本の場合政治への参画の項目がとんでもなく足を引っ張ります。別に日本の政治分野で女性がとんでもなく理不尽に抑圧されて、有権者から差別されて選ばれないことはあり得ませんが、とにかく数としていない以上は計算上仕方ありません。女性が女性の政治家(蓮舫小池百合子福島瑞穂・辻本清美など)を信用していないということになりますが、まぁそれはそれで妥当な気がします。ただし数字としては低くなってしまいますね。

加えて、ジェンダーギャップ指数は、男性差別は取り扱いません。つまり、男性の方が短いとされる平均寿命に著しい差があったとしても差別としてカウントされません。少年兵が数多く亡くなっていたとしてもカウントされません。それがこの指標です。そういう基準なのです。

 

参考URL: Global Gender Gap Report 2016 “Japan”

 http://reports.weforum.org/global-gender-gap-report-2016/economies/#economy=JPN

 

 

ジェンダー不平等指数(GII)

この指標は国連開発計画(UNDP) という然るべき国際機関が行っている、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、エンパワーメント、労働市場への参加の3つの側面における達成度の女性と男性の間の不平等を映し出す指標です。0(女性と男性が完全に平等な場合)~1(すべての側面において、男女の一方が他方より不利な状況に置かれている場合)の間の数字で表されるため、1に近いほど達成できていないことになります。ここはジェンダーギャップ指数と逆ですね。

この指標だと日本は188カ国中17位です。ジェンダーギャップ指数よりも多くの国が参画した指標となっております(2015年当時)。欠点などの詳細は下記URLにあるので簡潔に述べますが、この指標も完全ではありませんし、当然見落とす部分もあるでしょう。しかし、少し視点を変えるだけで女性差別国家のはずの日本が優等生ともいえるベスト20に入っております。そのほか、ジェンダー開発指数(GDI)やジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)など異なる指標もありますね。

この指数だけ使われていれば、世界有数の男女平等国家とも言えてしまいそうですね。勿論努力するべき点は残っているでしょうが、少なくとも先進国として恥だとは言えませんね。順位表も下記URLにありますので、興味のある方はどうぞ。

 

参考URL: United Nations Development Programme “Human Development Reports”

より table5, Gender Inequality Index http://hdr.undp.org/en/composite/GII

よくあるご質問:ジェンダー不平等指数(GII)とは

http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/library/human_development/human_development1/hdr_2011/QA_HDR4.html

 

・幸福度調査

では数字の面だけでなく、国民がどう感じているのかも見てみることにします。世界幸福度報告(World Happiness Report) という国際連合の機関が発行する指標を参考にすると(2016年度版)、人口あたりGDP・社会的支援・健康寿命・人生選択の自由度・寛容さ・信頼・裏切りのなさの6項目を基準にした結果、日本は157カ国中53位です。先進国の中では低めといえるのではいないでしょうか。細かく見ると、特に人生選択の自由さと寛容さの低さが目立っており、女性が人生を狭められているからこそ寛容さを感じられず、差別されていると主張することもできそうです。

しかし、この調査は男女混合です。これだけでは女性差別は主張できません。

そのため、より男女での比較が可能な世界価値観調査(World Values Survey) を用いて男女間の幸福度格差を比べると、一貫して女性の方が男性よりも幸福度は高く、その差は世界有数です。世界一位の年もあります。詳しくは下記URLでお確かめください。

勿論、用いる指標によって結果は変わりますが、女性が選択を狭められていてそのことを女性自身が強く不幸に感じているとは必ずしもいえなさそうです。むしろ、幸福度で言えば男性の方が追い詰められていますね…。自殺率などで見ても同様の結果が得られると思います。

 

参考URL: 世界幸福度報告

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E5%BA%A6%E5%A0%B1%E5%91%8A

 

幸福度の男女差: http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2472.html

 

・まとめ

発言者である秋元才加さんは間違ったことはおっしゃっていません。強くたくましい女性を受け入れる土壌は確かに日本に不足していると断言できます。しかし、その理由は男性の怠慢ではなく、女性自身の意志が統一されていないこと、つまりは女性がみんな強くたくましくなりたいとは思っておらず、強くたくましくありたい女性が日本では”例外”であることです。もっと言えば、女性自体はこうしたいという総意をまとめ、宣言ができるような圧倒的に自立した強くたくましいリーダーがいないことです。

「男性に奢られるなんて隷属だ!」と考え、社会進出を突き詰め、子供はベビーシッターに任せる方法も個人的には反対ですが、女性自身が望むのなら進める価値はあるでしょう。子供を育てることを最優先にするのが総意なら男女役割分担式でもかまいません。どちらも選べるようにするやり方も、負担の行き場について折衷案が女性側から出るのであれば一考の余地は十分ありますし、男性としても負担が軽減されるなら反対する理由はありません。もっと極端に女性だけの会社を起業し、徹底的に強さを追求して男社会を叩き潰しに行くやり方も方法としてはありでしょう。女性が望むかはわかりませんし、さすがにそれは秋元さんの真意とは外れますがね。

手を取り合いたいのはやまやまですが、先にビンタをかましたまま、解決策を提示してくださらないのは強くたくましい女性の皆様ではないですかね?ジェンダーギャップ指数だけ引っ張ってきて差別を訴える記事を見て手を取り合う姿勢があると解釈できますか?そういう日本女性を舐めた記事を見て批判しないような「強い女性」を信用できますか?

 

申し訳ないですが私には無理です。